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ケットシー物語 クロ、故郷に帰る 51

「ボクさ、少し頑張ってみるさ」

 ライリュのやる気に火が点いたようだ。



「焼けましたよ、お客人もどうぞ」

 大きな皿四つに山盛りになった焼き魚。


 それとは別に、ミケラとサクラーノの手にはちょっと大きな器に、焼かれた魚が一匹ずつ乗せられて各人に配られた。


 ドドンゴ達にとっては巨大サイズの皿だったが、身体の大きいドラゴンにはほんの一口のおやつ程度の量にしかならない。


 ドラゴン達は口に放り込み、むしゃむしゃと美味しそうに食べる。


「ああ美味しい、こうやって料理した魚を食べられるのが堪らない」

 ドラゴン達がみな笑顔になる。


「申し訳なと思ってるんですよ、それしか作れなくって」

 ドドンゴが申し訳なさそうにクロッポ達を見上げた。


「いいって、俺たちはこれだけでも満足さ。これだけ焼くのも大変なのは見て知ってるからな」

 クロッポの言葉に、他のドラゴン達も頷く。


「そうだよ、おいら達は好きでやってるんだからさ。ドラゴンの村にいても暇だし、こうやって手伝って美味しいモノを食べさせて貰ってるんだから文句はないよ」

 キャメルの言葉に、


「そうだよ、ドドンゴ達の手伝いをする事自体が楽しいんだから気にしないで」

 プラオが続けた。


「話は変わるが、捨てる予定の網はまだ残ってるか?」

 クロッポがドドンゴに聞く。


「まとめて捨てようと思ってたからな、小屋の置くに積んであるぜ」

 ドドンゴの返事に、


「ふむ」

 とクロッポは頷く。


「それを出してきてくれ」

「何に使うんです?」

 捨てる予定だった網を唐突に出してきてくれと言われれば、疑問に思うのは当然だろう。



「なに、ライリュに網に慣れて貰おうと思ってな。捨てる奴なら、破いてしまっても惜しくないだろ?」

「成る程、練習用に良いですな」

 クロッポのアイディアに、ドドンゴも納得した。


 早速、ドドンゴ達は小屋の中から捨てる予定だった、古い網を出してくる。


「ライリュ、ちょっと来い」

 ライリュを呼び寄せる。


「なんなのさ、クロッポさんさ」

 呼ばれてクロッポの前まで来る。


「これをこんな感じで持って見ろ」

 クロッポは網を一張ひとはりを手渡すと、もう一張ひとはりを両手で広げてみせる。


「これをさ、そんな感じに・・・」

 ライリュはおっかなびっくり、渡された網を両手で広げてみた。


「よし。それじゃあな、力を入れて両側に引っ張れ」

 ライリュは言われるままに、広げた網を両側に引っ張ると、網はあっさりと破れてしまった。



後書きです


PVがいきなり増えていたので、なんだろ?と思ってみたんですがご新規さんらしいです。

もうこの話も600話超えているので、ご新規さんが一気にダウンロードすると一気にPV増えるんですよね。

こうしてご新規さんが増えてくれるのはありがたいことです。

人気のところに比べたら吹けば飛ぶようなところですけど、頑張ろうという原動力になりますから。

山もなく谷もないほのぼの系ですけれど、これからもミケラ達のことをよろしくお願いします。


また来週(^^)/~~~


                     (Copyright2025-© 入沙界南兎いさかなんと)

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