ケットシー物語 クロ、故郷に帰る 48
ミケラもサクラーノも、よく判らないと首を傾げるのだったが。
「うふふふ、君たちにはちょっと難しかったかな」
ミケラとサクラーノの様子を見て、キャメルは楽しそうに笑う。
「魚獲ったから、岸に帰るよ」
ドドンゴ達も岸に向かって移動を始めていた。
キャメル達、カゴにお客を乗せたドラゴンは先に岸に向かって飛ぶ。
「到着」
小屋の近くに着陸して、ミケラ達はカゴから降りる。
カゴから降りてしばらくすると、ドドンゴ達の操る船も戻ってきた。
「お客人方、これから網を引き上げるから手伝ってくれよ」
ドドンゴが最後に投げ入れて、引き揚げなかった網の端を手の持ってみせる。
引き上げなかったのは、ミケラ達に引き上げて貰うためだったのだ。
「お魚?」
ミケラがタマーリンを見上げる。
「そうですよ、みんなでお魚を引き揚げるんですよ」
タマーリンがニコニコ笑いながら説明した。
「お魚引き上げる」
「一杯捕まえる」
ミケラとサクラーノは大張り切りだ。
網を引き上げるのに参加するのはミケラとサクラーノの他に、マオット、虎次郎、チャトーラ、白妙と黒妙、力自慢のレッドベルだ。
渡されたと網を八人がかりで引き上げる。
「うんしょ、うんしょ」
ミケラとサクラーノが先頭で頑張る。
「よっ、はっと」
レッドベルと虎次郎が一番端を持ち、力の限りに引く。
子供がいるとは言え、八人がかりでようやく陸に網を引き上げ、八人とも汗だくで息もかなり上がっていた。
それを、二人で引き上げてしまうドラゴニュートの力恐るべし。
「さっ、お嬢ちゃん方、好きな魚を選んでくんな」
引き上げられた網の中で魚がピチピチと跳ねていた。
「わお」
ミケラとサクラーノが網の中をランランとした目で見る。
「わたしこのお魚」
ミケラが小さな手でなんとか一匹捕まえてみせる。
「わたしはこれ」
サクラーノは難なく捕まえる。
「予はこれじゃ」
マオットも捕まえた。
「それじゃ、その魚をこっちに渡してくんな」
ミケラ達は手にした魚をドドンゴ達に渡す。
受け取った魚をドドンゴはまな板の上に乗せ、手にした包丁でいきなり捌き始めた。
「えっ、えっ」
固まるミケラとサクラーノ。
「ミケラ、サクラーノ、よく見ておきなさい。わたし達が生きていくには、こうやって他の命を取って生きているとい言う事を」
お妃様がミケラとサクラーノを後ろからしっかりと抱き締め、二人も耳元に優しく慈愛に満ちた声で囁く。
その声を聞き、落ち着きを取り戻すミケラとサクラーノ。
「わたし達の食べているお魚って、生きていたんだ」
「そうだよ、だから食事の前に感謝の祈りを捧げるんだよ」
食事の前の感謝の祈りの意味を知るミケラ達だった。
後書きです
最後のシーン、書くかどうか迷ったんですよね。
ほのぼのファンタジーとしては割とスルーしている部分だし、ひとによっては不快に感じると思ったんで。
でも、ミケラ達の教育の為に書くことにしました。
と言ってもこの世界はサザエさんワールドなので歳は取らないんですけどww
また来週(^^)/~~~




