表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/568

1話「泉の妖精 その6」

「すげぇ」

「凄いじゃん」

「四露死苦!」

 妖精達も目を丸くして驚く。

「大丈夫?生きてる?」

 ミケラは虎次郎に殴られ、目を回している大ガエルの身体を揺すった。

「姫様、危ないってば」

「危ないよ」

 チャトーラとチャトーミが慌てて止めに入る。

 虎次郎も急いでミケラの元に駆けつけた。

「大丈夫だよ」

 ミケラは物怖じせず、そのまま何度も大ガエルの身体を揺すった。

「・・・・・・ゲコッ」

 やがて大ガエルが目を覚ます。

「ひめさまぁぁぁ!」

 チャトーラとチャトーミが大慌てでミケラと大ガエルの間に入って盾となる。

 頭を殴られた為か、朦朧とした様子で大カエルは動かない。

「チャトーミ、姫様を連れて逃げろ」

「あいよ、兄ちゃん」

 チャトーミがミケラの身体を掴み上げると全速力で走った。

 その足は素晴らしく速く、瞬く間に近くの丘の上まで逃げ去る。

「旦那、後は任せた」

 ミケラを抱いたチャトーミが逃げ切ったのを確かめると、後は虎次郎に任せてチャトーラも逃げる。

「うむ」

 虎次郎が再び刀を構える。

 大ガエルが朦朧とする頭から抜け出した時には、ミケラ達の姿は無く、目の前には刀を構えている虎次郎ただ一人だけだった。

「待って欲しいゲロ、もう降参ゲロ」

 大ガエルは慌てて、自分に戦うつもりのない事をアピールした。

 大ガエルに戦うつもりは無いと判断して、虎次郎は離れた場所からこちらを伺っているミケラ達に安全だと合図を送る。

 それを見てミケラがトコトコと歩いてきて、その後ろをチャトーラ兄妹と妖精達が続く。

「大ガエルさんは、何故、妖精さん達を追い出したの?」

 ミケラに尋ねられて大ガエルはしょぼんとしながら答えた。

「オラが住んでいた湖にドラゴンが来たゲコ、オラ怖くなってここまで逃げてきたゲコ、妖精達には済まない事をしたゲコ」

 妖精達に謝る。

「ドラゴン」

 ドラゴンと聞いてミケラの目がキラキラと輝き始める。

「見たい、ドラゴン見たい」

 キラキラした目で虎次郎を見上げる。

「承知」

 虎次郎がぼそっとそれだけ言い、チャトーラとチャトーミは「やっぱり」ガクッと肩を落とす。

「旦那は本当に姫様に甘いぜ」

「甘やかしすぎはダメだよね、兄ちゃん」

 と虎次郎に言ったが聞く耳は持たない。

「貴様、あないいたせ」

 と言われ、大ガエルは意味がわからずキョトンとする。

「湖まで案内して下さいと言ったんだよ」

 再び、ミケラが虎次郎の言葉を翻訳した。

「判ったゲコ、着いてくるゲコ」

「みんな行くよ」

 ミケラがキラキラした目で号令をする。

 そうなったミケラを止める事は出来ないので、チャトーラは肩をすくめて後に続き、チャトーミもその横を歩く。

「なんだ、お前らも着いてくんのか?」

 小妖精達も一緒に着いてきたのだ。

「なんか面白そうだし」

「面白そうじゃん」

「四露死苦♡」

 ただの野次馬だった。

 と言うチャトーラ達もミケラの物見遊山のお供なので、大差ないのだが。


著作権表記追加                       (Copyright2021-© 入沙界 南兎)


2023/09/24 一部修正



                       (Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ