ケットシー物語 クロ、故郷に帰る 43
「二人ともいい加減におし」
お妃様が止める。
「だって」
ミケラが頬を膨らませるが、
「ミケラ様、お魚のを獲りに行くのでしょ?」
タマーリンに言われて、
「そうだった」
自分達がこれから何をしに行くのか思い出す。
「マオットちゃん、いこ」
「うむ」
「魚獲り行くぞ」
マオットを真ん中にして手を繋ぎ、ミケラ達三人はドラゴンの方へ向かう。
「それじゃ、ドラゴンの皆さんお願いします」
ドドンゴの合図で、ドラゴンがそれぞれ首を下げ、首から下げたカゴが地面に着く。
「皆さん、お好きなカゴに乗って下さい」
クロッポの乗っているカゴには、ドドンゴ達漁師が既に乗っていて、そのカゴに虎次郎とチャトーラが乗る事に。
「・・・」
ミケラと一緒のカゴに乗るつもりでいた虎次郎は、ショックで固まる。
「だんな、諦めな。女ばっかのカゴに乗っても居心地悪いだけだからよ」
チャトーラに肩を叩かれ、渋々ドドンゴ達のカゴに乗るのだった。
マオットと手を繫いだミケラとサクラーノは、顔見知りのキャメルの所に行く。
チャトーミが身軽にカゴに乗り込むと、
「姫様」
手を出すが、背の低いチャトーミでは全然届かない。
「ミケラ様、サクラーノ。そこに並んで下さいませ」
ミケラとサクラーノがカゴの前に並ぶと、
「浮遊」
タマーリンが超高速で呪文を唱え、ミケラとサクラーノの身体が浮き上がり始める。
「チャトーミ、受け取りなさい」
言われるまでもなく、チャトーミは手を伸ばしてミケラとサクラーノの手を取り、カゴの中に引っ張り入れるように抱き締める。
「タマーリン、いいよ」
その声と共に、タマーリンは浮遊の呪文を解き、ずしっとミケラ達の体重がチャトーミにかかったが、チャトーミは平然とそれを抱える。
走るのが得意なだけあって、見かけによらず足腰が強いのだ。
タマーリンも自分に呪文をかけて同じカゴに乗ろうとしたが、それより素早く乗り込む影が三つ。
マオットと白妙、黒妙だ。
マオットはともかく、白妙と黒妙は昨日お妃様に怒られたばかりなので必死だった。
これでミケラと別のカゴに乗り込もうものなら、後でお妃様にどれだけ怒られるかわかったものではない。
「がるるるる」
カゴの中から、今にも食い付きそうな形相で黒妙がタマーリンを睨んだ。
「仕方ありませんはね」
かごにはこれ以上乗れそうもなかったので、タマーリンはライリュの方のカゴに飛ぶ。
残りの女性陣がライリュのカゴにそれぞれが乗り込んだ。
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