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ケットシー物語 クロ、故郷に帰る 42

「は、はい。タマエラさん、宜しくお願いします」

 今更ながら、ギリは頭を下げる。


 その様子を見て、更に白妙と黒妙は抱き合って震え上がっていた。


 そのギリの隣で、レッドベルはのんびりとお茶を啜っている。


 この一連のやり取りを、我関せずという風に。


 神経の太さはキマシ以上かもしれない。


「で、どこに行けばいいんだい?」

 諦めて、お妃様は前向きに対応する方へと舵を切る。


「明日の朝、ドラゴンさんがここに迎えに来てくれるそうです」

 簡単に説明する。


「ドラゴンに乗ってまた移動かい?」

 クロの背中に乗ってここに来たのを思い出し、てっきり背中に乗っての移動だと思い込む。


「いえ、ここのドラゴンはクロ程大きくはないですから、全員を背中に乗せるのは無理ですわ」

 大人なら背中に跨がるというのも出来るだろうが、小さいミケラやサクラーノは転がり落ちてしまう危険がある。


「じゃ、どうするうだい」

「それは見てのお楽しみですわ」

 タマーリンは楽しそうに微笑む。


 その頃、ニュート村では、


「神龍様のお客様が乗るからキレイにしろ」

 と村人総出で、ミケラ達が明日乗るカゴの掃除のまっ最中だったのは、タマーリン達は知るよしもなかった。



 翌日、


 宿の外から大きな羽ばたき音が聞こえてきた。


「来た」

「来た」

 ミケラとサクラーノががばっと顔を上げる。


「いらしたようですわ、皆さん外へ出ましょう」

 朝食も終わり、寛いでいたみながタマーリンの声でゾロゾロと外へ出る。


 ミケラとサクラーノは既に外に出ていて、見慣れないドラゴンに向かって手を振っていた。


「あら、増えましたのね?」

 昨日三人だったドラゴンが、今朝は四人に増えていたのだ。


「あいつは、見習いのライリュだ。助っ人に呼んだ」

 クロッポが教えてくれた。


「最近、ドラゴニュート達の漁に興味持ち出してきて漁自体には馴れてないが、俺たちだけじゃ全員運べないからな」


「ボクはさ、ライリュって言うのさ。宜しくなのさ」

 ライリュは指でVの字を作って、目の前をさっと横に動かす。


「かっこいい」

「うん、かっこいい」

 二人は早速真似をしてから、マオット達が出てきたのを見つけた。


 ミケラとサクラーノはマオットのところまで走って行くと、


「よろちくにょのさ」

「・・・しくなのさ」

 マオットにやってみせる。


「新しい遊びか?こうするか?」

 早速、二人の真似をするマオット。


「よちくにょのさ」

 ミケラの言った通りに繰り返した。


「違うよ、よりょちくにょのさだよ」

 ミケラが一生懸命マオットの間違いを直そうとしたけれど、一生懸命になれば成る程、噛んでしまうミケラ。


「よりょちくにょのさじゃな」

 マオットはミケラの発音を間違えないように、正確にミケラの言ったとおりに発音をする。


「だから違うの、よりょちくにょのさなの」

「だから、よりょちくにょのさじゃろ?」

 こうして自分が噛んでいるのに気がつかないミケラと、ミケラの発音をオウム返しにしているマオットのすれ違いは続くのであった。


後書きです


誠に申し訳ありませんでした。

まさか、このような事態なるとはまるで想定外でございました。

今後、このような事態が起きないよう、誠心誠意時間ギリギリまで書かないで行こうと思います。


いやあ、本当に夏が戻って来るなんて思わなかったよ。

もう十月なかば過ぎてるのに、全国で夏日発生とかあり得ない。

これもまじめに自分が四周年記念短編を書いた所為?

これから夏を呼ぶ男と名乗るか?


また来週(^^)/~~~


                       (Copyright2025-© 入沙界南兎いさかなんと)

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