ケットシー物語 クロ、故郷に帰る 39
「岩だよ、岩が一杯出たよ」
「ビューンとあっちに飛んでった」
ミケラとサクラーノは顔を見合わせ、手振り身振りで見た事を確認し合う。
キャメルは離れた場所に着地すると、ヨタヨタと二本足でカゴの所まで戻ってくる。
「ど、どうだった?」
心配顔で聞いてくる。
「岩が一杯飛んで凄かった」
「ビューンて飛んでいったの面白い」
ミケラとサクラーノは、キラキラした目で大きな声を出して返事をした。
「よ、良かった」
ミケラ達にウケたのが判り、ホッと息をするキャメル。
「どうかいたしましたの?」
キャメルの様子が少し変に感じたタマーリンが尋ねる。
「なんて言うかさ、ロックブレスって地味じゃない。ファイヤーブレストかライトニングブレスに比べて、派手さないし。この子達にウケないかなと思ってたんだよ」
確かにファイヤーブレスやライトニングブレスに比べると、ロックブレスは煌びやかさに欠ける。
地味と言われれば地味なブレスに分類されるのだろうが、それがコンプレックスになっていたようだ。
「そんなこたぁねえぞ、俺たちゃキャメルさんのブレスに随分助けられてんだからさ」
漁に出ていたドラゴニュートの中でも、ひときわ体格のいいドラゴニュートが声をかけてきた。
「そうだね、おいらのブレスはみんなの役に立ってるもんね」
ちょっとへこみ気味だったキャメルの顔に笑顔が戻る。
「こちらの方はどなたかしら?」
タマーリンがドドンラに尋ねる。
「ウチの父ちゃんだよ、父ちゃん挨拶しなよ」
父親に挨拶を促す。
「わりぃい、わりぃい。おりゃあドドンゴって言うんだ。この村の漁師を取り仕切ってる。宜しく頼むぜ、神龍様のお客人方」
軽く頭を下げた。
「こちらこそ宜しくお願いいたしますわ」
タマーリンが代表して頭を下げる。
「ところで、キャメルさんは漁でどんなお仕事をなさっているのかしら?」
疑問に思った事を聞いてみる。
「おいらかい?おいらはブレスを使って、魚をドドンゴ達が仕掛けた網の方に追い立てるのが仕事なんだ」
ドドンゴ達がやっているのは追い込み漁だった。
「これが結構大変でさ、魚ってなかなか思った方に進んでくれないからさ」
キャメルが説明してくれる。
「だから、先頭の魚が進む方向を予想してブレスを放つのさ」
群れる魚は先頭の魚の後を追う習性がある。
なので先頭の魚の行き先をコントロールしてやれば、他の魚も網の方に行ってくれるのだ。
「キャメルさんは俺っちがガキの頃からこの仕事してるからよ、俺っちよりか大ベテランなんだぜ」
ガハハと笑うドドンゴ。
キャメルも一緒になって笑う。
ドラゴンを使った追い込み漁とは、なんと豪気な漁なんだろう。
後書きです
四周年記念短編は順調に書き進んでます。
追い詰めれれないと動き出さない自分にしては珍しいかも。
も、もしかして真夏がまた戻ってくるかも\(゜ロ\)(/ロ゜)/
ただ問題があって、五千字くらいの予定が半分過ぎた時点で六千字オーバー。
どうしましょう。
このまま書いて、不要な部分を削るか・・・無茶士とサビエラのコイバナのシーンとか。
あっ、向こうでナナ様がすごい顔して睨んでるからダメらしい・・・さた、どうしよう?
また来週(^^)/~~~
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