ケットシー物語 クロ、故郷に帰る 31
「それはそれとしまして、二本足で歩かないのは若いドラゴン達というのはどういう事ですの?」
途中で話が逸れてしまったが、本当はその話を聞くはずだったのだ。
「その話ね・・・」
ドドンラは言葉を切ると、
「父ちゃん達に聞いた方がいいかもね」
とまだこちらに向かって飛んでいるドラゴンの方を見た。
「ちょっと父ちゃん達にお客紹介してくるからさ、お店見ていてよ」
隣の店に声をかける。
「あいよ、見ておくからいっといで」
隣の店の奥から、ドドンラに負けないくらいの威勢のいい返事が返ってくる。
「頼むよ」
それからミケラ達の方を向くと、
「それじゃ行こうじゃないか」
と言って歩き始める。
「行くの?」
「ドラゴンさんのとこ?」
ミケラとサクラーノがタマーリンの顔を見る。
「ええ、ドラゴンさん達がお魚を一杯獲ってきてくれたみたいですわよ」
ニコニコ笑いながら、タマーリンがそう説明する。
「お魚一杯」
ミケラがニコッと笑う。
「ドラゴンがお魚獲ってきた」
サクラーノの顔がワクワクで一杯になる。
「いこ、早くいこ」
ミケラが手を出す。
「よっし、いくぞぉぉ」
サクラーノがその手を掴んで、バビューンと走った。
それに引きずれていくミケラ。
いつもの光景だ。
「サクラーノ、どこに行くか判っているんですの?」
タマーリンが慌てて呼び止めて、サクラーノは急停止した。
「どっち行くの?」
こてんと首を傾げる。
「一緒に参りましょう」
右手にミケラの手を握り、左手でサクラーノの手を握って、タマーリンはドドンラの後を追う。
残りの者達も、その後に続く。
小さいミケラ達がいるので、ドドンラもゆっくり歩いてくれていて、直ぐに追い付く。
ミケラ達がドドンラの案内で町外れまで来るのと、ドラゴンが着陸するのが同じだった。
「おかえり~~」
ドドンラが手を振る。
「只今」
ドラゴン達と、ドラゴンが首から提げているカゴの中にいるドラゴニュート達も、手を振り返す。
カゴの中には、五人のドラゴニュートの男性が入っていた。
「おや、ケットシーや人間なんて珍しいね」
クロ程ではないが、黒い鱗のドラゴンが不思議そうにミケラ達を見る。
「神龍様のお客様ですよ、クロッポさん」
ドドンラがミケラ達の事を説明する。
「おおっ、神龍様のお客人であったか。それは失礼した」
クロッポは軽く頭を下げる。
「神龍様は今、ケットシーの街にお住まいと聞く。もしかして、その街の方達ですか?」
クロッポの問いに、
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