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魔王襲来 その3

「何じゃおぬしら、予の影の中から出てきたようじゃが、一体何者じゃ」

 女の子は目の前にいるミケラ達に詰め寄る。

「あたしはチャトーミ、そしてこっちがミケラ姫。この国の王女様だよ・・・そうだ、人に名前を聞く時は先に自分の名前を言うもんだって兄ちゃんが言ってた。名前、先に言わないとダメなんだぞ」

「そうなのか?それはすまん事をした、しかし、予に名前なぞ無いので名乗りようがない。敢えて言うなら、魔王、そう、全ての魔物の頂点、魔王じゃ」

 女の子は高らかに笑う。

「名前無いの?だったら付けてあげる、魔王だからマオちゃん」

 目を回していたミケラが復活して話に加わって来るなり、勝手に名前を付けてしまう。

「こら、勝手に名前を付けるでない。魔王だからマオとか、何という安直なネーミングセンスじゃ」

「むぅ」

 速攻でダメ出しされて、ミケラは頬を膨らませる。

「まっ、無いよりましじゃ。許す、これから予の事をマオと呼ぶがよい」

 魔王の女の子はミケラの付けた名前で納得したようだ。

「よろしくね、マオちゃん」

 頬を膨らませていたミケラがニコッと笑う。

「なんか調子が狂う奴じゃのう・・・わっぷ」

 突然、マオに白い布が被された。

「小さいからって、女の子がそんな破廉恥な格好で外を歩くんじゃないよ」

 倉庫の女将の声が響いた。

「何をするのじゃ、予を誰だと思っておる」

 マオが被された布の中でもがく。

「女将さんこんにちは」

「女将さんちわっすっ」

 ミケラとチャトーミが挨拶をする。

「ミケラ様、チャトーミこんにちは。ミケラ様少々お待ち下さいね、先にこっちを片付けてしまいますから」

 女将はマオにかぶせた布をマオの身体に合うように折って結んで、瞬く間に服にしてしまう。

「お前、器用だな」

 マオは女将の手業に驚き、ミケラも目をキラキラさせて見入る。

「女将さん凄い、凄い」

 もうワクワクが止まらないという感じではしゃぐ。

「女将さん、こんちは」 

 もろに閃光に目にして目を回していた虎次郎とチャトーラがようやく回復して駆けつけてきた。

「おや、護衛役が今頃おいでかい」

「うっ」

 女将のイヤミに返す言葉もなく呻く二人。

「女将さん」

 そこへクロと武茶志も駆けつけてきた。

「その子、危ないですよ」

 クロが忠告するが、女将さんは手をパタパタ振って、

「大丈夫、大丈夫、危ないならあたしはとっくにどうにかなってるさ。でもなんでも無いだろ、だから大丈夫、大丈夫」

 女将さんは気にもせずにマオの服の細かい調整を続ける。

「お前、何者じゃ?その気配、尋常ではないぞ」

 マオがクロに向かって叫ぶ。

「僕ですか?こんな姿をしてますが、僕は神龍ですよ。魔王のお嬢さん」

「な、なにぃぃぃぃぃぃ!」

 神龍と聞いてマオが驚きの声を上げる。

「神龍は龍の里の更に奥にある神淵で寝ておるのではないのか、何故こんな場所におるのじゃ」

 言われてクロは頭をポリポリと搔く。

「寝てばかりいても健康に良くないですから、たまには散歩もしないと」

「そうか、そうであるな。寝てばかりいてはボケてしまうと言うからな、簡単に出来てボケ防止になる散歩は大事じゃな」

 生まれたばかりのはずのマオが無駄知識を披露した挙げ句、納得してしまう。

(Copyright2022-© 入沙界 南兎)

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