ケットシー物語 クロ、故郷に帰る 24
「マオとは誰じゃ、予はマオットじゃ」
否定するマオット。
「言葉遣いが元に戻ってんぞ」
チャトーラの指摘に、
「うっ」
と言葉を詰まらせる。
「でもじゃな、ミケラもサクラーノも気に入ってくれておるようじゃし・・・ガッカリさせるような気がしてじゃな」
ちょっと弱気なマオット。
「そんな事、姫様もサクラーノも気にしないって。実はマオでしたって正体明かせば、姫様達だって喜ぶぞ」
「そうかな・・・そうじゃな。ミケラ達なら喜んでくれるのじゃ」
一気に元気を取り戻すマオ。
「そうとなったら、どうやったらもっと喜んでくれるか考えるのじゃ」
エンターテイメントに妥協しないマオだった。
エミーイに連れられて集落まで来たミケラ達。
「エミーイ、その子達は?」
遠巻きに見ていた住民の一人が声をかけてくる。
「神龍様のお客様です」
「おお、やっぱり」
住民達からどよめきとも、歓迎ともつかない声が漏れる。
「こんにちは、わたしミケラです」
「わたしはサクラーノだよ」
ミケラとサクラーノが挨拶する。
「これはご丁寧に・・・今、村長を呼んできます」
住民の一人が村長を呼びに行った。
しばらくすると、白いひげを生やしたドラゴニュートがエッホエッホと走って来る。
「これはこれは、神龍様のお客様方。良くおいで下さいました。村長をしているドラゴンゴでございます」
ニコニコ笑いながら、ドラゴンゴは一人一人手を取って挨拶をして回る。
「村長さん、ご丁寧な挨拶ありがとうございます。わたくしはタマーリンと申しますの」
タマーリンが挨拶した途端、
「へっ、タマーリン・・・」
村長が固まる。
「た、タマーリン様というと・・・あのタマーリン様で御座いましょうか?」
大きく見開かれた目でタマーリンを見る。
「あら、あのタマーリンと申されましても、どのタマーリンかわたくしには判りませんわ」
と言いつつ、口元を抑えながらクックックッと笑う。
それが更に村長を恐怖させた。
リザードマンより顔が人間に近いので、表情は読みやすい。
「おじさん、何が怖いの?」
村長が怯えているのを感じ取ったミケラが、村長に近寄り顔を見上げた。
「あの、その、あちらの方が・・・」
視線をタマーリンへと向ける。
「タマーリン?タマーリンが怖いの?」
無邪気に聞くミケラ。
「は、はい・・・」
冷や汗を流しながら頷く村長。
「大丈夫だよ、タマーリンは優しいから」
と言いつつ、ミケラはタマーリン方を向き、
「ねっ」
と確認を入れる。
後書きです
「作者、そこへ正座」
「ナナ様、いきなり来て何を・・・」
「いいから正座」
「は、はい」
「先週、何をやったかわかってるよね?」
「あっ、あれは・・・」
「目を逸らさないでこっち見る」
「はい!」
「虎次郎は一話から登場する、重要メンバーだよね?」
「は、はい。このお話の大事な存在です」
「それを忘れるってどういう事?」
「ははぁ、誠に持って申し訳ありませんでした」
「判ればいいのよ、判れば」
「はい、以後気を付けます」
「それと私の出番もっと増やしなさいよ、でないと毎晩枕元でミームの子守歌聞かせるわよ」
「げっ、そ、それだけはご勘弁を」
「ナナ様、作者さんを脅すなんて駄目じゃないですか!」
「ミーム!」
「ちょっとこちらへいらして下さい」
「耳は止めて、耳を引っ張るのは止めて」
こうして悪は去っていった。
また来週(@^^)/~~~
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