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ケットシー物語 クロ、故郷に帰る 21


「亜人?」

 ミケラには亜人という言葉も難しかったみたいだ。


「人間に似ていますけど、人間と違う種族の事ですわ。ケットシーには、猫の耳と猫の尻尾が生えているでしょ?」

 ミケラは自分の耳と尻尾に触ってからギリ達の方を見た。


「本当だ、人間には猫の耳と尻尾ないもんね」

 それで納得したようだ。


 それからメイド達の方を見て、

「顔が人間じゃないもんね」

 メイド達の顔はリザードマンを少し人間ぽくしたような顔をしていて、とても人間と呼べる顔はしていない。


「うんうん」

 ミケラは納得したように頷く。


「サクラーノ判った?」

 ちょっとお姉さんぽく、サクラーノに聞く。


「亜人が・・・尻尾が・・・う~んと、う~んと・・・みんな友達」

 散々な悩んだ末にサクラーノはニパッと笑う。


 そう、猫は一旦受け入れてしまえばドラゴンだって悪魔だって仲間、友達。

 犬とだって仲良くなれるのだ。

 その精神はケットシーにも受け継がれていた。


「だね」

「だよ」

 頷き合うミケラとサクラーノ。


「そうですわね、亜人同士仲良く致しましょう」

 タマーリンはメイド四姉妹達の方を向くと、

「面倒をおかけしますが、宜しくお願い致します」

 頭を下げた。


「こちらこそ宜しくお願い致します」

 慌てて四姉妹達も、もう一度頭を下げた。


「宿が決まったなら、荷物置こうぜ」

 荷物は個人個人持っていたのだが、ミケラとサクラーノ荷物はチャトーラが一人で抱えていたのだ。

 子供なので大荷物ではないけれど、二人分プラスチャトーラ自身の荷物を持っていたので、早く置きたいという気持ちは判る。


「あっ済みません、早速お部屋にご案内致します」

 部屋に案内される。


 ミケラ、サクラーノ、お妃様、タマーリンが同じ部屋。

 チャトーラ、チャトーミ、虎次郎、マオットはその隣の部屋。

 ギリ、キマシ、レッドベル、白妙、黒妙はミケラ達の向かいの部屋となった。

 小妖精達は小さいので適当に。


「結構、いい部屋じゃないか」

 お妃様気に入ったようだ。


 建物の壁部分は丸太をそのまま積み上げたログハウス風の作り。

 床板も変に加工されていない素朴な作りで、華美さはないが木の香りがする素朴な宿だった。


 案内された部屋にはベッドは四つあったが、固めた草の上から羊毛で作られた布が被されているだけのベッドだった。

 大きな窓は開け放たれ、窓から爽やかな風が入ってきていた。

 天井には明かり取りの天窓があり、大きな窓と天窓からの明かりで部屋の中はかなり明るい。


 部屋の真ん中には素朴な感じの椅子とテーブルがあり、その素朴さが部屋の雰囲気とマッチしている。



後書きです


今日で八月も終わり、明日からいよいよ九月。

秋ですよ秋。

でも、最近の日本の秋は迷子になっているようでなかなか来てくれない。

迷わずに早く来てね、秋さん。


九月が過ぎると十月、十月でケットシー物語も四周年を迎えます。

四周年用の短編をぼちぼちと用意し始めあたのですが、いつもの如く最後は追い詰められて慌てて書くことになる(確定)

追い詰められないと本気になれないタイプなので、それをダメ人間と言うんですけどww


また来週(@^^)/~~~


                         (Copyright2025-© 入沙界南兎(いさかなんと))


2025/09/01  虎次郎の存在を忘れていたので追記。

2025/10/05  白妙と黒妙の存在を忘れていたので追記。

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