ケットシー物語 クロ、故郷に帰る 20
「そうなんだ、昔は姫様みたいにみんな影移動出来たんだ。いいな・・・」
話を聞いていたチャトーミが、ちょっと夢想するように宙を見つめる。
「俺は今のまんまの方がいいかな、走るのは楽しいしよ」
チャトーラは現実主義者だった。
タマーリンの話に、反応は各自様々だった。
「ケットシーのタレント、有るだけで凄いと思うよね」
キマシはギリやレッドベルに同意を求める。
「有れば便利だと思うけど、無ければ無いで構わないかな」
「そうだな、別に生活に困るわけでは無いから」
ギリとレッドベルは反応が薄い。
「なんで二人とも、夢が無いよ夢が」
一人怒るキマシ。
「キマシが夢見すぎなんだと思うぞ」
「キマシはお子ちゃまだから」
「ヴ~~」
脱線から、話は戻る。
「ドラゴニュートはある意味、ケットシーに似ているかもしれませんわ」
「ケットシーに?」
ますます判らないとばかりに首を捻るミケラ。
「ケットシーは昔は猫の妖精でしたが、今では人間らしさが増して亜人となってますわ。ドラゴニュートも、ドラゴンと言うよりドラゴンの亜人と言った方がいいですから」
ドラゴニュートはドラゴンの部分あるが、体付きは人間に近い。
ドラゴンは四足歩行生物が無理して二足歩行している感が強いのだが、ドラゴニュートは人間のようにスマートに歩ける。
人間の着る服もサイズさえ調整すればそのまま着る事が出来た。
四姉妹達のメイド姿もかなり様になっているのだ。
もしドラゴンサイズにしてドラゴンに着せたら・・・ウププ。
因みにドラゴン達が二足歩行しているのは、
『知恵有る者は二足歩行すべし』
と言う神の定めによる。
この世界の神様って・・・ナナ様?
「呼ばれて飛び出て・・・」
「くしゃみをすると飛び出してくる大魔王ですか?」
「あれ?ここ後書きじゃないの?」
「はい」
「いいの?」
「まっ、たまには」
「それでわたしを呼んだのは何故かしら?」
「えっと、知恵有る者は二足歩行すべし。と定めたのはナナ様ですか?」
「そうよ」
「それは、どうして?」
「そんなの決まっているじゃない、短足でよちよち歩く姿が可愛いからよ」
「・・・・・・」
「どうしたの?」
「いえ、ドラゴン達にちょっと同情しただけです」
「・・・まっいいわ、用事は済んだかしら?」
「はい、ありがとうございました」
「じゃ、用事が有れば呼んでね。いつでも来るわよ、バイバイ」
こうしてナナ様は去って行った。
ドラゴン達が二足歩行する事になったのは、ナナ様のやらかしが原因・・・ドラゴン達に合掌。
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