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魔王襲来 その2

 それより少し前。

「あっ、この感覚は」

 倉庫の中で働いていたクロが突然、顔を上げた。

「なんか変な感じがしますね」

 隣で荷物の整理をしていた武茶志も手を止める。

「あら、珍客が来たようですわね」

 自分の家で寛いでいたタマーリンも薄らと笑みを浮かべ、身支度して外へ出る。

 その頃ミケラも、虎次郎やチャトーラ達を引き連れて倉庫に向かっている最中だった。

「むっ」

 虎次郎もいち早く異変に気が付き、ミケラ守る為に前へ出る。

 そこへ空から闇を纏った巨人が街の真ん中へと降り立った。

「なんじゃありゃあ!」

 チャトーラが驚きの声を上げつつも、ミケラとチャトーミを庇うように前へと出た。

「なに、なに、あれ何?」

 ミケラは闇を纏う巨人に興味津々で目をキラキラさせながら巨人の方へと走り出そうとするのを、

「姫様ダメ」

 チャトーミに抱きつかれて止められる。

「ナイス、チャトーミ。そのまま姫様を離すなよ」

「任せて兄ちゃん」

 チャトーミはしっかりとミケラの身体を抱きしめる。

「離して、離して」

 ミケラはチャトーミの腕の中から逃げようとするが、しっかりと捕まっていて、その腕からは逃げられそうもなかった。

「もういいもん」

 ミケラは諦めたのか、逃げようとするのを止め、我慢するように身体がプルプルとする。

 それを諦めたと思いチャトーミはホッとした。

 油断だった。

 自分たちが建物の影の中にすっぽりと入っているのに気が付いていなかったのだ。

 唐突にミケラがチャトーミごと影の中に沈む。

 プルプル震えていたのは力を溜めていたのだ。

「兄ちゃん!」

 チャトーミが悲鳴に近い声でそれだけ叫ぶと影の中に飲み込まれた。

 チャトーラと虎次郎はチャトーミの悲鳴で振り向き、チャトーミを引き連れて影に沈むミケラを見て直ぐに闇の巨人方へと向き直る。

 巨人自ら作る影の中からミケラ達が現れた瞬間、稲妻が落ちたような轟音と激しい光がミケラから生じ周囲を光が飲み込む。

「な、何らぁ今のはぁ!」

 光が収まるとミケラの前に目を回した女の子が尻餅をついて倒れていた。

 女の子はしばらく目をしばしばさせていたが、直ぐに回復して立ち上がり自分の身体を見回すと、

「おっ、おっ、予の纏っていた闇が無くなっておるぞ!これは一体どういう事じゃ!」

 女の子は絶叫する。

 年の頃は8歳前後、下着と呼ぶのもはばかれるほどの黒い僅かな布が胸と腰の周りを隠しているだけだった。

 黒いショートカットで、目つきはキツかったが端整な顔立ち、そして種族は人族のように見える。

「何、何が起きたの?」

「うきゅぅぅぅ」

 影に沈む瞬間にチャトーミは目をつぶったので光を直視せずに済んだが、それでも強烈な光の影響を受けたようで目をしばしばさせている。

 光の発生源のミケラは完全に目を回していた。


(Copyright2022-© 入沙界 南兎)

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