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ケットシー物語 クロ、故郷に帰る 9

「はいよ姫様、サクラーノ」

 チャトーラが先に降りて、ミケラとサクラーノが降りるのに手を貸す。


「皆さん降りましたね、それじゃあ馬車は急いでここを離れて下さい。ボクが正体を現すと、馬がびっくりしてしまいますから」

 馬車は急いでその場を離れていき、馬車の姿が見えなくなったのを確認すると、


「それじゃあ、ボクも行きますね」

 クロも大急ぎで、馬車とは反対方向に走って行った。

 チャトーラの走りには負けるが、それでもかなりの速さで。


 人間サイズから元の大きさに戻った時に、どうしても空気が押されて衝撃波が産まれてしまう。


 魔法である程度は抑えることは出来ても、完全に無くすのは無理なのでミケラ達を吹き飛ばさない為に離れる必要があったのだ。


 ミケラ達がその場に残り、ワイワイとしていると唐突に黒い大きな存在が出現した。


「わーい、クロだ」

「おおっ」

 ミケラとサクラーノは大喜び。


「うわぁ」

 チャトーラはチャトーミにしがみつき、黒妙は白妙に抱きつく。


「大きいね」

 キマシは平然としていて、

「そ、そうだな」

 ギリはちょっとビビったようだ。

「わお、大きい」

 レッドベルはサクラーノ同様、目をキラキラさせて見上げていた。


「皆さん、荷物を持って固まって下さい」

 耳元にクロの声が聞こえてきた。

 タマーリンがよく使う、風に声を乗せる風魔法だ。


 言われたようにみなが荷物を持って一塊になると、虹色の障壁が周りを覆う。

「あら、虹輝障壁ですの?」

 それはタマーリンが使う最強の障壁、虹輝障壁だった。


「それでは飛びますよ」

 虹輝障壁が、ミケラ達が立っている地面ごと宙を飛び、元のサイズに戻ったクロに向かって飛ぶ。


 空中から改めてクロを見ると、本当に大きい。

 頭は空に浮かぶ雲にまで達し、背中から生えている羽の大きさは王都を覆う程だ。


 クロは神龍を名乗っているが、その姿は日本の龍とも西洋のドラゴンとも似ていない。

 敢えて似ている存在を探すとしたら、アステカの神話に登場する蛇神ケツァルコアトルだろうか。


 真っ黒な巨大な蛇に漆黒の翼を持ち、両腕のみが生えている、それがクロの姿だった。

 そして、神龍の名にふさわしく全身から神々しさを放っている。


 最初、ビビりまくっていたチャトーラも落ち着きを取り戻していた。

「兄ちゃん、情けないよ。クロのあの姿見るの二回目じゃないの」

 チャトーミに怒られる。


「うっせー、誰にだって苦手なモノはあるんだよ」

 ふて腐れて地面にどかっと座り込む。


「兄ちゃん、お子ちゃまだね」

 チャトーミがふふんと笑う。

 日頃、チャトーラに子供っぽいと言われていたので、言ってみたかったのだ。


「ふん」

 チャトーラは鼻先で返事をした。


 皆を乗せた虹輝障壁は、クロの背中にたどり着く。


後書きです


皆さん、お暑うございます。

さっきまでうだる暑さで、ぐでっとしていました。

何とか動ける暑さにまで涼しくなってくれたので、大急ぎで投稿しています。

いつまで、この暑さは続くんでしょうね?

この暑さで、今年のお米も減収と聞くし、もう涼しくなってよと言いたい。

お天気に文句を言っても仕方ないので、涼しくなるまで体調を崩さないように頑張りましょう(^^)/


また来週(@^^)/~~~


                       (Copyright2025-© 入沙界南兎(いさかなんと))


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