ケットシー物語 クロ、故郷に帰る 1
今日はロレッタが、ミケラ達を連れてお出かけ。
最近、倉庫の飲食コーナーで売り出されたコーラを飲みに来たのだ。
時間は混む時間を避けて、お昼とおやつの時間の間くらい。
お昼は軽く済ませてあるので、おやつ代わりに来たのだ。
それでも席はそこそこ埋まっていた。
「これが武茶士が神様に教えて貰った言う、コーラという奴か?」
マオがグラスを持ち上げてしげしげと見る。
大きめのコップの中に黒い液体と上に氷が浮かんでいる。
「異世界では、こんな怪しげなモノを飲んでおるのか?」
怪訝そうに呟く。
今日のメンバーはロレッタの他に、ミケラ、サクラーノ、マオ、白妙に黒妙、そしてレッドベルにタマーリン。
レッドベルは虎次郎に代わってミケラの護衛となったのだ。
ミケラに専属の護衛はやはり必要と言う事になり、とは言ってもタマンサの家はほぼ女性ばかりなので、男の虎次郎ではまずいだろうと言う事で、虎次郎の弟子のレッドベルが選ばれたのだ。
家の外に猫小屋を作ってそこに虎次郎を住まわせるという話も出たが、流石にそれは却下された。
虎次郎だったら、気にせずそこに住んだと思うが。
六人テーブルにミケラ達が座り、四人テーブルにはタマーリンとレットベル、そしてギリとキマシがちゃっかり座っていた。
「なんで、あなた達二人がいるのよ」
レッドベルが口を尖らせる。
「暇だったから街中ぶらついていたら、見つけたからさ」
「凄いよね、ベル見つけたってギリがいきなり走り出して。本当にいたし」
目を丸くして驚くキマシ。
ギリは斥候任務をしていたので目が良い。
街中で知り合いを見つけるなぞ造作もないのだ。
「いいわよ、あなた達とこうして外でお食事はなんて久しぶりですわ」
タマーリンがニコニコ笑いながら、運ばれてきたコーラに口を付ける。
「ゲホゲホ・・・結構きついですわね」
少しむせかえる。
「確かに最初はきついけど、あたしは好きかな」
ギリは最初の一口はきつそうな顔をして飲んだいたが、二口目から平然と飲んでいる。
「この薄いお芋も美味しいね」
キマシはコーラとのセットで人気の、薄くスライスして揚げたお芋を手にしていた。
いわゆるポテトチップスだ。
武茶士がネビュラ・ナナに貰ったコーラのレシピの紙の束の中に、
『コーラと一緒に食べるべし』
と目立つように赤い大きな文字で書かれた、ポテトチップスのレシピも付いていたのだ。
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