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ケットシー物語 トラスロット奔(はし)る 136

「サウが馬車の中で倒れて・・・それでここに運んできた」

 トランスロットが説明する。


「まあ、サウが?それで大丈夫?」

 サウが倒れたと聞いて驚くモモエル。


「今、キティーが診ています」

「それなら安心ね」

 キティーが診ていると聞いて、安心するモモエル。

 それだけ、キティーへの信頼が厚い。


「そうだモモエル、ボクねタレントが出たよ」

 トランスロットの言葉に、モモエルは一瞬固まる。


 それから、

「ホント?」

 と聞き、


「うん」

 とトランスロットが答えると、


「お”めでどぉぉぉぉ」

 モモエルが勢いよくトランスロットに抱きつく。


「じんばいじでだのよ、よがっだ、よがっだ」

 トランスロットにしがみつきながらボロボロ涙を流すモモエル。

 タマンサの家に預けられたミケラの面倒を見る傍ら、トランスロットの事も小さい頃から面倒を見てきた。

 モモエルにとって、トランスロットは大事な家族であり弟なのだ。



「おめでとう」

「おめでとう」

 周りにいたケットシー達もトランスロットにおめでとうを言う。


 タレントの発現はそれぞれなので、トランスロットくらいの歳で発現しないのも珍しくはない。

 それでも早く発現して欲しいと、やきもきしたのはみな経験済み。

 近くで発現した子供がいれば、みなでお祝いを言うのがケットシーの習わしとなっていた。



「おめでとうトランスロット」

 サビエラも側に来て祝福してくれる。


「ほらモモエル様、いつまでもトランスロットにしがみついていたら迷惑ですよ」

 トランスロットからモモエルを引き剥がそうとしたが、


「だっでぇ」

 イヤイヤをするモモエル。


「もう、子供じゃないんですから」

 と言いつつしゃがむと、


「はい、チーンしましょうね」

 ハンカチをモモエルの鼻に押しつけ、モモエルもチーンする。


「はい、じゃあ立ちましょうね」

 トランスロットに抱きついていた手をゆっくりと解いて、モモエルを立ち上がらせる。


 まるで子供を扱うようだが、感激しすぎるとモモエルは子供同然になってしまう。

 落ち着けば直るので、それまではそっとしてあげるのが一番。


「モモエル様の扱いにも慣れてきたわたしも、魔道研に染まっているな」

 苦笑するサビエラ。


 モモエルを椅子に座らせると、キティーが戻ってきた。


「サウの具合はどうだった?」

 サビエラが聞くと、


「軽い脳しんとうだった。頭に少しこぶが出来ていたけど、それも大丈夫。後は診療室のベッドで寝かせておけばいいわ」

 キティーの説明を聞いて、サビエラはサウを診療室に運ぶ手配をする。


 体格のいい男達が馬車の中からサウを連れ出し診療室に運ぶのを見送ってから、

「あなた達はどうする?」

 トランスロットとゆいに聞く。


                     (Copyright2025-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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