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ケットシー物語 トラスロット奔(はし)る 129

「ゆいとこうしていると、少しづつ楽になるんだ」

 サビエラはゆいの方を見た。

 視線を感じたのか、ゆいも少し顔を上げたら直ぐに顔を伏せてしまう。


「相変わらず、人見知りは直ってないか」

 苦笑しつつも、

「この子、天使なんだよね。その影響かしら?」


 サビエラの予想は概ね当たっていた。

 天使であるゆいは、生命エネルギーの元であるオーラの塊なのだ。

 生命力の塊が、ピッタリと横に寄り添えばその影響を受けようというモノ。


「も、モモエル様が、た、倒れたって聞いたんだけど」

 そこへ、呼ばれたキティーがやって来た。

 全力で走ってきたのだろう、肩で息をしている。


「いつものあれだから、先に息を整えよう」

 サビエラの意識がトランスロット達から、キティーへと移った。


 ほっとするゆい。

 サビエラの事は嫌いではなかったが、少し押しの強い所が苦手なのだった。


 サビエラも初めから押しが強かったわけではない。

 元々、流されやすい性格だったのが、モモエルの相手をしていてだんだんと押しが強くなっていったのだ。

 モモエルは少しでも隙を見せると、それにつけ込んであれこれやっかい事に巻き込んでくるので、イヤでも強くならないと自分が大変な目に合うからだ。


 キティーの息が整うのを待ってから、

「先にトランスロットの方を見てやって・・・モモエル様が倒れた時・・・か、顔にモモエル様の胸が・・・当たって、息が出来なかったみたいだから」

 最初言いにくそうにしていたが、最後の方は一気にまくし立てる。


「へっ?モモエル様の胸が・・・顔に当たって、窒息?」

 キティーは頭の上に大量の?マークを飛ばしながら、コテッと首を傾げた。


「と、取り敢えず手を出して」

 兎に角診断とばかりに、トランスロットの手を取って診断魔法をかける。


 キティーは若くして中級回復魔法が使える天才としてもてはやされているが、圧倒的に経験値不足。


 魔道研で使うのは、気力と体力が尽きた研究者を回復させる魔法ばかり。

 おかげで、そっち系は診断魔法を使う必要がないくらいには経験を積んだが、通常の治療行為にはまだまだ診断魔法のお世話になるしかなかった。


「うん問題ない・・・と言うか、横の方から何か力が・・・」

 ゆいの方を見る。


「凄いわ、流石天使。治癒の力が少しづつトランスロットに流れ込んでる」

 キティーが驚きの声を上げた。

 回復魔法とは魔力をオーラに変換して行うので、診断魔法からすれば回復行為をしているように見えて当然なのだ。


「しっ、ゆいが天使なのは内緒でしょ」

 慌ててキティーに注意をする。

「あっ、そうだった」

 キティーも慌てて口を自分に手で塞ぐ。


 もっとも、ゆいは昨日、子供達の前で飛んで見せたり、ロレッタと買い物に出た際に商店で天使と紹介しているので、ゆいが天使だというのは既に街の殆どの住人が知っていたりするのだが。

後書きです


ラストはもう決まっているんですが、そこに向かう道筋が見えない。

いつもは書いている間に道筋が見えてきて、その方向に進めばいいのだけれど、今回は書いても書いても道筋が見えてこない。

途中、ミケラが切れたりして流れが変わったけど、それでもここまで道筋が見えないのもね。

お陰で話があっち行ったり、こっち行ったりで。

次の話も書くのを苦労しているのもあるのかな・・・


また来週(@^^)/~~~


                     (Copyright2025-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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