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ケットシー物語 トラスロット奔(はし)る 126

 次の日の朝、早々に一悶着が起こった。

「お兄ちゃん、遊びに行こう」

「ゆいちゃん、遊びに行こう」

 仕事に出かけようとしたトランスロットとゆいを、サクラーノとミケラが引き留めたのだ。

「僕たち、これからお仕事だから」

 服の裾をサクラーノに掴まれて困るトランスロット。


「わたしもお仕事行かないと」

 ゆいは基本、トランスロットと行動を共にする。

 人見知りが完全に直ったわけではなく、トランスロットの側が一番落ち着くから。


 それに馬の世話も馴れてきて、楽しいと思えるようになってきたのも大きい。

 馬の方もゆいが天使だと判るのか、良く懐いてくれている。

 そんな馬たちの顔を思い浮かべると、行かないわけにもいかなくなるのだった。


「サクラーノ、ミケラ。お兄ちゃんとゆいが困っているでしょ」

 タマンサが二人を止めに入ってくれた。


「だってお母さん」

「お兄ちゃんと遊びたい」

 家では二人の面倒をよく見てくれるトランスロットだったが、外へ出ると一人でいることが多いトランスロットと昨日はたっぷりと遊べた。

 今日もトランスロットと遊べると思っていたのだ。


「ごめんよ、お兄ちゃんもゆいも今日はお仕事なんだ」

 トランスロットには夢があった、その夢のために厩の仕事は休めない。


「次、いつ遊べるの?」

 二人してトランスロットを見上げる。


「えっと・・・次の天の日だから・・・明後日、明後日なら大丈夫だよ」

 ケットシー王国や周辺の国では週六日制を取っている。

 星の日、火の日、水の日、風の日、地の日、天の日の順番となっていた。


 最初に星が生まれ、火山が星を火の海と化し、水が溢れ火山を静め、風が雲を作り恵みの雨を呼び、大地に動植物が生まれた。

 それを祝福するが為に、天から太陽が地を照らした。

 古くから伝わる神話に倣っており、祝福の日である天の日をお休みとなっていたのだ。


 また、四週を一月ひとつきとし、十二ヶ月で一年となっている。

 ケットシー王国周辺は日本と同じような四季があり、四季の巡りも概ね日本と同じに巡っていたのだった。



 昨日は水の日でお休みではなかったのだけれど、思わない事件のためにお休みを貰ったのだった。


「明後日、明後日だね」

「約束だよ、約束」

 サクラーノとミケラが迫る。


「う、うん、約束だよ」

 断れないと覚悟して、トランスロットは約束した。


後書きです


今回は暦についての話が少し出てきましてけど、そんなネタもあるんだねくらいにお願いします。

作者としては六歳のミケラといつまでも遊んでいたいので、誕生日のネタたとか書く気はないですから。

なので、誕生日も設定無いです。

サクラーノが三月の終わりから四月の頭、ミケラはその三か月後くらいに覚えてもらえれば。

誕生日に関しては、それくらいしか設定してないのでw


また来週(@^^)/~~~


                         (Copyright2025-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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