ケットシー物語 トラスロット奔(はし)る 108
「うわぁぁ!」
子供達が一斉にミサケーノの周りに集まってきた。
「お姉さん凄い」
「ホント凄かった」
「凄い凄い」
大はしゃぎだ。
ミサケーノの頭の中でも、
〈凄いよ凄い〉
〈うぉぉぉ〉
と二人が大騒ぎだ。
「あなた、そんなに目立ってよろしいのですか?」
タマーリンが呆れた顔で一言言う。
「あっ、まずいかも・・・もうやっちゃったものは仕方ないよ」
とあははと笑う。
ネビュラ・ナナと同類の匂いがする。
「あれはいったいなんじゃ」
驚きから復帰したマオが聞いてきた。
「あっ、あれね。昔、親を亡くした子供達を集めた施設で子供達と遊んでいる時にあれやるとウケたのよ。こうやって子供と遊ぶの久しぶりだったから、ついね」
うふっと舌を出す。
「前もって言って欲しいのじゃ、いきなりは予でも驚く」
マオは頬を膨らませる。
「可愛い」
そう言ってミサケーノは膨らんだマオの頬を突く。
「よせ、よさぬか」
マオがその手を振り払おうとするが、何故だかうまく払いのけられない。
「そんなんじゃ、わたしの手は払いのけられないぞ」
マオの手を上手に避けながら、ミサケーノのツンツン攻撃は止まらない。
「こ、この、予も魔王じゃ。魔王が負けてなるものか」
マオもムキになってミサケーノの手を払いのけようと頑張るが、何度やってもその手を払いのける事が出来ない。
「あはははははは」
その間、ミサケーノは笑い続けたが、唐突にその手が止まってしまう。
「あれ、なんでわたし泣いているの・・・楽しいはずなのに・・・」
「ど、どうしたのじゃ?」
馬鹿笑いしていたミサケーノが突然泣き始めたので、心配になって見上げるマオ。
〈お姉さん大丈夫?〉
〈お姉さん泣かないで〉
ミケラとサクラーノも心配する。
「ゴメンね・・・急に涙が出てきちゃって・・・あははは、自分でもびっくりだよ」
指で自分の目の下を押さえるミサケーノ。
「これをお使いなさいな」
タマーリンがハンカチを差し出した。
「あ、ありがとう」
受け取ったハンカチで涙を拭う。
「洗ってかえ・・・せないか、ちょっと不便ねこれ」
ハンカチを洗って返したくても、何時までもこの姿でいられないミサケーノにはそれは不可能だった。
「いいですわ、後でミケラ様のお家に取りに参りますから。マオ、預かっていて下さいな」
タマーリンがマオに渡すように言う。
「悪いわね、お願いするわ」
マオにハンカチを渡す。
「良いのじゃ、ミケラ達とはもう家族なのじゃ。予がお姉ちゃんだから、お姉ちゃんはこんな事は気にせぬのだ」
わはははと笑う。
〈違うよ、マオちゃんの方が年下だから〉
〈マオちゃんの方が妹だよ〉
と騒ぐミケラとサクラーノ。
後書きです
「さくしゃ~~!」
「なんですかナナ様、またサクハラですか?」
「ちょっと作者いる?」
「げっ、ミサケーノまで」
「サクハラって何よ!」
「げって何よ!」
「お二方、落ち着きましょう」
「それよりどうして私がミサケーノと同類なのよ」
「そうよ、どうしてネビュラ・ナナと同類なのよ」
「はっきり教えて!(二人同時に叫ぶ)」
(そんなところが同類なんだってば)
短編書きました、こちらも宜しく
「賽の河原の亜里砂」
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また来週(@^^)/~~~
(Copyright2025-© 入沙界南兎)




