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ケットシー物語 トラスロット奔(はし)る 106

「それじゃあ、よろしくね」

 ミサケーノはマオの所に戻ると、改めて手を差し出した。


「こっちこそ、よろしく頼むのじゃ」

 マオも手を差し出す。


 互いに手を握り、これでペアの完成だ。


「これ、なかなかよく出来たシステムね」

 ミサケーノは互いに手を握り、ペアを組むシステムに感心した。

「これじゃ、わたしが本気出せないわ」

 ミサケーノは本気を出して走れば音速を超える事ができる。


 子供達が大勢いる広場でそんなマネをすれば、衝撃波で大惨事確定。

 マオと手を組む事によって、その惨事は未然に防がれているのだ。


「うむ、予も飛ぶ事は禁止されておるからのう。走るしかないのじゃ」

 以前、サクラーノと組んだ時に飛んだことで、ミケラ達を危険に巻き込むところだったのだ。

 それ以来、マオは遊ぶ時は飛行禁止が決められた。


「走るのは得意?」

「力には自信が有る」

 としか返ってこなかった。


「走るのは苦手なのね」

 ミサケーンは昔の事を思い出す。

 魔王は身体能力は高かったが、それは強化魔法の補助を受けての事だった。

 素の魔王は、自分の足で走るのはあまり得意ではなかったのだ。


「リセットされても、そこは変わらないのね」

 ミサケーノは魂の状態で、隣で眠る魔王が次第に惚けていくのを見守っていたのだ。

 ネビュラ・ナナが魔王が動けない事をいい事に、やりたい放題していたのも見ていた。

 ボケがどうにもならなくなって、身体ごとリセットされることになる事も。

 魂の状態では見ているしか出来なかったのだ。


「あのブルーなんとかのデータを頭に直接送り込むのはやり過ぎよ」

 思い出して、

「後でネビュラ・ナナをとっちめておかないと」


-・-・-・-・-・-


 ここはネビュラ・ナナの納める領域。

「あうっ」

「ナナ様、いかがなさいました?」

 ネビュラ・ナナの突然のうめき声に驚くミーム。


「なにか、いま背中に悪寒がしたのよ」

「悪寒ですか・・・ナナ様が風邪を引くわけもありませんし、もしや何かしらの凶兆かもしれませんね」

 ミームの言葉にネビュラ・ナナは嫌な顔をした。

「あれかな?もしかして、あれ?いえいえい、もしかしたらあれかもしれない」

 思い当たる事が多すぎて思い悩むナナ様。

 流石、ナナ様である。


-・-・-・-・-・-・-


 鬼が決まり、子供達は鬼から十歩離れる。

「さてと、子供達と鬼ごっこなんて超久しぶり。頑張るわよ」

 やる気満々のミサケーノ。

 生きていた頃は公務を抜け出して、身寄りのない子供達のを集めた施設で子供達とよく、鬼ごっこをして遊んだものだった。



                      (Copyright2025-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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