ケットシー物語 トラスロット奔(はし)る 104
『お姉さん、神様なの?』
『うぉ、神様!』
ミサケーノの呟きを聞いて、頭の中でミケラとサクラーノが騒ぐので、
「はいはい、騒がない、騒がない」
大人しくさせると、
「ジャンケンをしてくればいいんだよね?」
『勝って』
『勝ったないとダメ』
勝ち以外ダメ宣言をされてしまう。
いきさつは二人の中にいて知っていたので、
「やっぱり勝たないとダメ?」
『うん』
二人から速攻で返事が返ってきた。
「くしょみひとつじゃないけど、呼び出されたからには頑張るか」
ミサケーノは広場の方へと戻る。
「こんにちは、ミケラちゃん達に頼まれて代わりに来たの。よろしくね」
にこやかに子供達に挨拶する。
「ミケラ達に?」
子供達はどうしようと顔を見合わせる。
それはそうだろう、見知らない人間の大人の女性が現れたのだから、戸惑うなと言う方が無理がある。
「お、お主は・・・」
ミサケーノの顔を見て、マオは絶句する。
「あらお久しぶり」
マオに笑顔を返す。
「予、知っているのか?」
「予、知っている人?」
視線がマオに集まる。
「う、うん・・・少しだけじゃが」
曖昧に返事をする。
「どうする?」
「予が知ってるなら大丈夫じゃない?」
「それもそうだな」
子供達からのマオへの信頼は思っていたより高かった。
「予の知り合いならいいぜ、仲間に入れてやる」
シャムタが決めた。
「ありがとう、みんな」
ミサケーノは感激して、子供達に抱きつきそうになるのをぐっと我慢する。
「あらあなた、来てしまったのですね」
タマーリンが声をかける。
「タマーリン様も知ってるの?」
「ええ、この方なら大丈夫ですわ。わたくしが保証致します」
タマーリンが保証すると言った途端、ミサケーノへの信頼が爆上がりした。
友達扱いくらいに。
「鬼ごっこするから、お前はマオと組め」
一方的に決められてしまう。
「ええっ、わたしも」
ジャンケンの為だけに呼び出されたはずが、子供達と遊ぶ事になって戸惑うが、
「それはそれでいいか、ムフフフ」
ちょっとしたイタズラ心が芽生える。
「よろしくね、マオちゃん」
マオに手を差し出す。
マオはその手をじっと見て、
「お主は・・・お主は・・・予のなんじゃ?」
戸惑う瞳でミサケーノの目を見上げた。
「お友達よ・・・わたしをよく見て。あなたなら判るはずよ」
優しく微笑む。
「予なら判る?」
疑問に思いながらミサケーノを見つめるマオ。
「わたしの本質を見て・・・魂の本質を」
「魂の本質・・・」
マオはさらにじっとミサケーノを見た。
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