ケットシー物語 トラスロット奔(はし)る 98
「魔法の才能があるのって、どうすれば判るの?」
この質問に、タマーリンは考え込む。
魔力感知を使えば、タマーリンクラスになると相手の魔法の才能を大まかには判るのだ。
この場でやっても良いのだが、
「才能があっても、それを伸ばす師が必要ですわ」
才能があっても直ぐに魔法が使えるわけではない、魔法はイメージ力が肝心。
呪文を詠唱するのも、イメージを高める為の手段なのだ。
そのイメージに魔力を込めて、力に変えていくのが魔法。
この近辺でそれを教えてくれるのは、王立魔法学校しか無い。
王立魔法学校に入学するには、それなりの才能を求められる。
「才能があっても、教える師がいないからダメなんて酷ですわ」
タマーリンはニコッと笑って、
「この辺りでは王立魔法学校が検査して教えてくれますわ」
ウソである。
王立魔法学校に入る為には、事前にある程度才能があるのを認められないと入学試験すら受けさせて貰えない。
キティーが王立魔法学校に入学出来たのも、回復魔法の才能を認められたからだ。
しかし、王立魔法学校と聞いて子供達の反応は、
「王立魔法学校かぁ」
「無理無理」
「俺たちの行くとこじゃないよな」
子供達にとっては、王立魔法学校など雲の上の存在、一気に諦めムードが広がる。
取り敢えず、子供達には効果が有ったようだ。
「それでどうしますの、まだ鬼ごっこを続けるのかしら?」
シャムタは弟と妹を見て、
「この二人は休みで、それとミケラとサクラーノも」
名指しされて、
「わたしまだ大丈夫だもん」
「わたしも走れる」
ミケラとサクラーノはブーたれたが、
「ダメだ、サクラーノは直ぐ倒れるから今回は休みだ。ミケラもサクラーノがいないと走るの遅いだろ」
厳しい口調で言う。
「う~~っ」
二人は本当の事なので、諦めてベンチの方へ歩き始める。
その二人にシャムタが声をかけた。
「悪いけど、弟と妹見ていてくれよ」
と頼まれ、ミケラとサクラーノは顔を見合わせてから、
「いいよ」
と応える。
「お前達、ミケラとサクラーノのところで大人しくしてるんだぞ」
「うん」
返事をする二人。
「じゃ、いこ」
ミケラとサクラーノに手を引かれ、シャムタの弟と妹もベンチに座った。
「予はどうするのじゃ?」
ミケラとサクラーノが休みなら、マオが余ってしまう。
「俺と組むのはどうだ」
シャムタも一人だった。
「お主とか?よいぞ」
こうしてマオとシャムタのタッグが組まれた。
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