ケットシー物語 トラスロット奔(はし)る 96
この街の鬼ごっこのルールは、
鬼を二組決める。
鬼以外は鬼から十歩離れる。
合図と共に鬼が追いかけるので、捕まらないように逃げる。
捕まったらその組みが鬼となり、交代した相手が十歩離れるまで動いてはダメ。
逃げられる範囲はこの広場の中だけ、外へ出たらダメ。
時間になって鬼だった組みの負け。
これだけだ。
「あれ、白妙と黒妙は?」
いつも時間係をやってくれる二人がいないのに、子供達が気がつく。
「今日はお休みだって」
「今日は朝、ご飯食べに来なかったよ」
それを聞いた子供達がざわつく。
「白妙、病気なの?」
「黒妙、大丈夫?」
「黒妙がご飯に来ないなんて、大変だ」
本気で心配される。
いったい二人は子供達にどう思われているのだろうか、その方が心配になる。
「二人なら大丈夫ですわ」
唐突に声が響き渡った。
声の方を子供達が一斉に向く。
「タマーリン様だ」
「うおお、タマーリン様」
子供達がタマーリンの周りに集まる。
前に、遊んでいる最中、サクラーノが暴走してあわや大惨事になるところをタマーリンの魔法で防いで以来、子供達に尊敬を込めてタマーリン様と呼ばれるようになっていた。
家柄など関係なく、タマーリンが実力で勝ち取った尊敬なのだ。
「白妙と黒妙は、お妃様にちょっと怒られてお家でお休みしてますのよ」
実際の所、魂が半分口から抜けそうになるほどお説教を喰らって、布団で絶賛うなされている最中なのだが。
「なんだ、また黒妙がなんかやったのか」
「しょうがないな黒妙は」
「いつもの事だね」
本当に二人は子供達にどう思われているのだろう?
「鬼ごっこをするですわね、それならわたくしが時間係をやりますわ」
時間を決めないで鬼ごっこをすると、体力の無い子が疲れてしまって大変な事になる。
なので時間係は大切なのだ。
いつもやってくれる白妙と黒妙は今日はいないので、タマーリンがやってくれるのは大助かりだった。
「お願いします」
子供達が全員でタマーリンにお願いする。
「はい、承りました」
これで時間係は決まった。
「じゃ、鬼決めるぞ。みんな集まれ」
シャムタの号令で、子供達が集まる。
「ジャンケンな、いくぞ」
組みの代表がジャンケンをするのだ。
ミケラの組みの代表はマオ。
「予に任せるがよい、ジャンケンでは負ける気がせん」
豪語してジャンケンに挑んだマオは、あっさり負けた。
「わははは、負けてしもうた。予に勝つとはあやつら勇者に違いない」
いつものメンバーなんですが。
もう一組の鬼はシャムタ達だった。
「よし、みんな十歩離れろ」
鬼を中心にして子供達が十歩離れるたのを確認して、
「鬼ごっこ始めるぞ!」
シャムタの合図で子供達が一斉に逃げた。
後書きです
今週はやばかった。
全然書けなくて、ついさっきまで書いてました。
出来立てのほやほやです。
お熱い間にお召し上がりくださいませ。
また来週(@^^)/~~~
(Copyright2025-© 入沙界南兎)




