ケットシー物語 トラスロット奔(はし)る 90
着替えを済ませて、顔を洗って食堂に行くと竈の方から良い匂いが漂ってくる。
「おはよう」
タマンサは既に席に着いていた。
「お母さん、おはよう」
ミケラがタマンサに抱きつく。
「わたしも」
サクラーノが反対側からタマンサに抱きついた。
「あらあら、二人とも甘えん坊さんね」
ニコニコ微笑みながら、タマンサは二人の頭を撫でる。
「えへへへ」
二人はタマンサの身体に、頭を擦りつける。
「出来たわよ、ほら二人とも座って」
ロレッタが竈の方から声をかけ、
「は~~い」
ミケラとサクラーノがタマンサから離れると、椅子に座る。
「おはようございます」
どこかで見ていたのではと言いたくなる絶妙のタイミングで、タマーリンとモモエルがやってくると、お客用のテーブルの椅子に腰掛ける。
「あれ、白妙と黒妙はまだ?」
いつもなら姿を現す二人がいないので、ロレッタは首を捻った。
「あの二人なら、今日は来ないと思いますわよ」
タマーリンが意味深な表情で、白妙と黒妙は来ないことを告げる。
夕べ、お妃様に魂が抜けかけるまでお説教されて、今は自分達の部屋でうなされながら寝ている。
今日は動けないだろう。
ロレッタも、なんとなく察した。
朝食を皆の前に並べ終えると、
「みんな、聞いて。今日はゆいがお手伝いして、朝の料理を作るのを手伝ってくれました」
ロレッタが紹介する。
「ゆい、偉いわ」
タマンサが誉める。
「ゆいちゃん、凄い」
ミケラとサクラーノは手を上げて喜ぶ。
二人なりの賞賛の仕方なのだろう。
「やるではないか、ゆい」
マオも笑って誉めた。
「えへへへへ」
ゆいは、はにかみながら笑う。
全員が席に着くのを待ってから、
「さっ、食べましょう」
タマンサの合図で食事が始まった。
トランスロットの横でゆいは、トランスロットが食べるのをじっと見つめる。
一口食べてからそれに気がついたトランスロットは、
「美味しいよ」
と小さい声で言う。
それを聞いたゆいは、
「う、うん」
と言いながら、僅かに頬を染めて今まで一番良い顔で微笑んだ。
朝食が終わると、サクラーノがミケラの手を引いて遊びに出るところを、
「サクラーノ、待て」
トランスロットがすかさず、サクラーノを止める。
「そうだぞ、予と一緒でなければダメじゃぞ」
昨日の件があり、サクラーノが遊びに行く時は、マオが一緒に付いていくことになったのだ。
なのでマオは倉庫の仕事は、当分休みになった。
「あっ、そうか」
サクラーノはトランスロット達を待つと、トランスロットがサクラーノとミケラの手を繫いで出かけるのだった。
後書きです
「マオット参上、マオット解決。
人呼んで、さすらいの魔王。
解決マオット!
近日公開じゃ!楽しみに待つがよい」
「ちょっとちょっと、勝手に宣伝しないでよ」
「なんじゃ、書く予定なのじゃろ?」
「それはそうだけどさ」
「ならば、近日公開じゃ」
「無理無理、さすがに近日は無理だから」
「ならばいつ公開するのじゃ」
「・・・な、なんとか四月末までには・・・」
「ならば四月公開じゃ、楽しみに待つがよい」
また来週(@^^)/~~~
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