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転生したら最強勇者になったが、住民の方が優秀だった件 その27

 武茶志はぺたんと座り込んでいた。

 周りは爆炎により地面がえぐられ真っ黒に焼かれた土からまだ煙が上がってる。

 タマーリンの攻撃のすさまじさの現れだ。

 武茶志の座り込んでいるところだけ草が無傷で残っているのは、タマーリンの攻撃を武茶志が防ぎきったからに他ならない。

「武茶志、大丈夫か?」

 武茶志を心配したチャトーラが駆け寄ろうとしたが、土から発する熱気にチャトーラは引き返した。

「雨よ」

 クロが手を振ると武茶志の数メートル上に虹が架かり、虹から勢いよく雨が吹き出し熱を発する土に降り注ぐ。

 最初は白い蒸気とジュワッと言う音を上げていたが、それも直ぐに収まる。

「ご苦労様」

 もう一度手を振ると虹が消え、雨も止まる。

「凄いね、クロと一緒なら水に困らないね兄ちゃん」

「はい、砂漠でも雨を降らせらますよ」

 クロがちょっと自慢げに胸を張る。

「凄いね兄ちゃん、クロってば砂漠にも雨が降らせるんだった。・・・で、砂漠って何?」

「知るか」

 ミケラ達が暮らすこの草原はかなり広い、チャトーラが本気で走っても抜け出すのは三日かかるだろう。

 そんなに長い距離走り続けるだけの体力はチャトーラには無かった。

 チャトーミならあるいは可能かもしれないが、こんな脳天気な妹を一人で行かせるわけにはいかない。

 なので、チャトーラもチャトーミもこの草原から出た事は無いし、出ようという気もなかった。

「それより武茶志だ、お~い武茶志生きてるか?」

 武茶志は弱々しく手を上げた。

 気力が尽きて、それが精一杯だったのだ。

「あらあら熱から身を守る為に、残り少ない魔力も使ってしまったようですわね」

 タマーリンが涼しい顔で説明をした。

 内心では「変ですわ、余裕で熱に耐えられるだけの魔力は残しておいたはずなのに」と頭を捻っていた。

 クロが振らせた雨で濡れた土の上を走って、チャトーラと虎次郎が武茶志の元に駆け寄ると、

「ほら立てるか?」

 チャトーラと虎次郎が肩を貸して武茶志を立たせ、ミケラ達の前まで連れてくる。

「あ、ありがとう・・・ございます、た、助かりました・・・・・・」

 ミケラの前にぺたんと座り込んだ武茶志は何とか礼を言う。

「でも凄いですよ武茶志さん、タマーリンの攻撃を受けて無傷でいるんですから」

 クロが武茶志を誉めた。

「武茶志凄いの?」

 ミケラがチャトーミに聞いた。

「凄いよ、あんなにボンボンの中に立っていたのに怪我してないんだから」

「うん、ボンボン凄かったね」

 ミケラの心がワクワクで一杯になる。

「武茶志すご~~~~いっ」

 キラキラする目を一杯に開いて、ミケラは武茶志を見た。

「あ、ありがと・・・あれ、あれ?」

 急に心の中から元気が湧いてきた武茶志が顔を上げると、キラキラと輝くミケラの目と目が合う。

「お姫様って凄いな」

 また、ミケラに助けられた気がして武茶志は心の底からお姫様パワーに感謝した。

「本当にお姫様の力は凄いですね」

 クロが微笑みながらやりとりを見ていた。

「ええ、本当に尊い力だと思いますわ、でも・・・・・・」

 タマーリンが表情を曇らせる。


(Copyright2022-© 入沙界 南兎)

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