表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
481/610

ケットシー物語 トラスロット奔(はし)る 69

「しょうがないわね・・・」

 と言いつつ、ロレッタはトランスロットの方を見て、

「トランスロット、それをよこしなさい」

 トランスロットが食べようと手に持っていたサンドイッチを、有無を言わさず奪い取る。

「ぼ、ボクのお弁当」

 涙目で抗議したが、

「もう一つあるでしょ、それで我慢しなさい」

 一瞬で却下された。



 ロレッタはテーブルのお皿の上に、トランスロットから奪ったサンドイッチを置くと、

「なにか、切る物はありませんか?」

 とサウに聞く。

「これで良かったら」

 さっき、サンドイッチを切るのに使ったナイフを出す。



「ありがとうございます」

 受け取ると、手際よくサンドイッチを三つに分ける。

「見事な手さばきだね」

 サウはロレッタの手さばきの良さに感心する。

「ありがとうございます・・・母・・・子供の頃からやっているから、あは・・・あははは」

 ロレッタは本当の事を言いかけて、言葉を濁した。

 タマンサの料理の腕がダメダメで、仕方なく覚えたとは流石に言えない。

 サウはなんとなく察して、それ以上突っ込まなかった。



 借りたナイフをサウに返すと、ロレッタは分けたサンドイッチをミケラ達に一つずつ渡す。

「お姉ちゃんのは?」

「わたしは食べたから、もういいの」

 ミケラは手にしたサンドイッチを見つめていたが、おもむろに両手で持って両側から引っ張った。

「何してるの?」

「お、お姉ちゃんに・・・半分・・・あげるの・・・ウギギギ」

 頑張って半分にしようとしているが、まだ小さくて力が弱いのでうまくいかない。

「いいから、ミケラが食べなさい」

「いや!お姉ちゃんと半分にするの!」

 こうなったミケラは、出来るまでやめない。



「姫様、俺がやりましょうか?」

 サウが助け船を出した。

「ミケラ、サウさんが半分にしてくれるって」

「え~~っ、でも」

 サウとサンドイッチを交互に見るミケラ。

「お姉ちゃんと半分こにするんでしょ?」

「う、うん」

「だったら、やってもらおうね」

「うん」

 ミケラはサンドイッチをサウに渡した。



「お任せ下さい」

 受け取ったサンドイッチを、サウはあっさりと二つに分けてしまう。

 日頃、馬の世話で鍛えられているのだ。

「さっ、姫様」

 サウは二つに分けたサンドイッチを、両方ミケラに渡した。

「ありがとう」

 ミケラは嬉しそうにそれを受け取ると、

「お姉ちゃん、はい」

 一つをロレッタに渡す。

「ありがとうミケラ、お姉ちゃん嬉しいわ」

 ロレッタは満面の笑顔でそれを受け取ると、サウに小さく頭を下げた。

 サウは、ミケラが嬉しそうにロレッタにサンドイッチを渡すのを、ニコニコ見ていただけだったが。


 ミケラがやった事見ていたゆいは、

「サウ、これも二つにして」

 自分のサンドイッチを、サウの所まで持っていき差し出す。

「いいぞ」

 受け取ると、あっさりと手で半分にしてゆいに返す。

「ありがとう」



 ゆいは受け取ると、トランスロットの所に行って、

「あげる」

 半分にして貰った片方を差し出す。

「いいの?」

「うん、わたし食べなくても平気だから」

 少し迷った後、

「ありがとう」

 受け取る。



「食べよう」

 ゆいはトランスロットに身体を付ける様に座ると、トランスロットが食べるのを待って自分も食べ始める。

 そんなゆいから幸せオーラが出ているのを、ロレッタが見逃すはずはなかった。


後書きです


自分で書いたネタに自分で笑い転げる日が来るとは思わなかったです。

ミケラと白妙と黒妙が、トランスロットのサンドイッチをじっと見つめる場面を想像したら、

モロにツボに入ってしまって。

あ~っ、やばかった。


ゆいがトランスロットに好意を、ゆいとしては積極的に見せるようになってきてお父さんとしては嬉しいです。

嫁に欲しければ燕の子安貝を持って来いなんて言わないですから。

せいぜい、龍の顎の玉で勘弁してやる。


ではまた来週(@^^)/~~~


                        (Copyright2025-© 入沙界南兎(いさかなんと))

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ