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ケットシー物語 トラスロット奔(はし)る 63

「そうか、楽しいか」

 サウがハハハハと笑う。

「今日は軽く掃除して、馬を運動させるぞ」

「うん」

 トランスロットは元気よく返事をして、ゆいは小さい声で返事をした。


 掃除が終わると、

「じゃあ馬に運動させるぞ。お前らは危ないから、少し離れたところで俺の仕事を見ていろ」

「あの」

 トランスロットがサウに声をかけた。

「なんだ?」

「馬の朝ご飯は?」

 トランスロットはてっきり、朝も飼葉を作るモノだと思っていたので聞いてみた。

「飼葉か?」

 頷くトランスロット。

「俺が先にやっておいた、何しろ馬の朝は早いからな」

 


「僕たちは作らなくていいの?」

 トランスロットの言葉に、

「気にするな、お前達はまだ子供だ。甘えられるときはしっかり甘えておけ。どうしてもやってみたいなら、まず、昼間の仕事をしっかりと出来るようになってからだ」

 ホワイトな職場だ。



「じゃ、馬を運動させるから見てろ」

 トランスロット達は、馬のいない柵の中に入れられる。

 サウは、厩の入り口の扉を閉めると、サウは一頭の馬の柵に近寄り、柵のかんうきを外して開く。

 馬が開かれた部分から出てくると、扉の閉じられていない厩の裏手へとゆっくりと歩き始める。

 サウは次々と馬を柵から出し、全ての馬が裏手から出てしまうと、厩の裏の扉を閉めてしまう。

「さてと、ここからは大変だぞ。覚悟しておけ」

 サウは両手を胸の前でがっちりと握ると、ボキボキと音をさせた。



「まずこれだ」

 手ぬぐいをトランスロットとゆいに手渡すと、自分の鼻と口を覆うように手ぬぐいを顔に巻き付けて後ろで縛る。

「お前達もしておけ」

 言われてトランスロットは、サウと同じように手ぬぐいで鼻と口を覆う。

 ゆいもやろうとしたが、後ろでうまく手ぬぐいが縛れなく、悪戦苦闘する。

「ほれ」

 見かねてサウが後ろで縛ってやった。

「あ、ありがとう」

 小さな声でお礼を言う。



「馬のいない内に、柵の中の掃除をするぞ」

 柵の中に入る。

 かなり臭かった。

 厩舎に近寄ると匂いはしていたのだが、柵の中は更に臭かった。

 原因は、柵の中に落ちている馬糞。

 


 厩舎は天井が高く作られ、入り口も裏口も大きく作られているので、風抜けが良く作られていた。

 そのお陰で匂いがこもらないようになっていたのだが、今は両方とも閉められているので匂いの抜ける場所もない。

 鼻と口を手ぬぐいで覆ったのは、このためだったのだ。



 王都に馬の乗り入れが禁止されているのも、馬糞の問題があったからだ。

 街を不潔にすると流行病はやりやまい流行はやりやすいというのはかなり前から知られていたので、ケットシー王国の王都では街の衛生管理に重きを置いていた。

 その行き着いた先が、馬の街へ乗り入れ禁止だったのだ。


後書きです


すいません、すいません、先週、Xの方で告知忘れました。

平に、平にご容赦を~~~~m(__)m


言い訳するとね、先週は読んでいるラノベの新刊が何冊も発売されて、カクヨムの方でドはまりした話が有って、完全に寝不足。

頭パッパラパーでした。

やっぱ人間、しっかり寝なあかんで。

みんなも寝不足には気をつけてな。


ではまた来週(@^^)/~~~


                      (Copyright2025-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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