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転生したら最強勇者になったが、住民の方が優秀だった件 その24

「次はわたくしの番ですね」

 タマーリンがしゃなりしゃなり歩きながら草原に向かう。

「武茶志、貴方も準備なさい」

 武茶志にも声を掛けるが、武茶志は何をどう準備していいか判らず途方に暮れた。

「あ、あのタマーリンさん。俺、魔法とかさっぱり判らないんで、どうしたらいいですか?」

 タマーリンがクスッと笑う。

「貴方、魔法も使った事がないんでしょ?」

 武茶志は素直に頷く。

「俺が前にいた世界じゃ、魔法はお伽噺に出てくる程度で実際に使っている人さえいないです」

 その言葉にタマーリンは僅かに驚きの表情を見せたが、直ぐにクスクスと笑いだした。

「うふふふ、そうね、だったらわたくしの言う通りなさい。初心者以下の相手に手ほどきするつもりは毛頭ありませんが、魔法のなんたるかは貴方の身体にしっかりと刻んで差し上げますわ」

 それを聞いた瞬間、武茶志は身の危険を感じて逃げようとしたが、タマーリンの方が反応が早かった。

「バインド」

 タマーリンが軽く指を振ると武茶志は身体が何かに縛られたように身動が取れなくなる。

「う、動けない」

 武茶志は力任せに何とか動こうとしたが、指一本動かす事が出来ずに無駄に体力だけを消費するのだった。

「うふふふ、無駄ですわ。今の貴方の力ではわたくしのバインドは破る事は出来ませんわよ」

 武茶志の無自覚で使っているプロテクションに防がれる事を予想して、プロテクションごとバインドで拘束してしまったのだ。

 タマーリンならではの高等技である。

「判りました、降参です」

 武茶志が降参するとあっさりとバインドは解除された。

「着いておいでなさい」

「はい」

 武茶志はタマーリンの後を素直に着いて歩く。

 内心では「逃げたい」と思っていたが、逃げれば直ぐにバインドで身動き出来なくされるのは判っているので、逃げるに逃げられなかったのだ。

「この辺りでいいかしら」

 タマーリンはミケラ達から離れた場所で止まる。

「武茶志、貴方はそちらへ」

 武茶志は言われた場所に移動した。

「武茶志、右腕を前に出して力を込めなさい」

 言われるままに右腕を前に出して力を込める。

「うむむむむむ」

 右腕を前に突き出して力む武茶志を見て、タマーリンはヤレヤレと首を振った。

「力むのはお止めなさい、まず右腕を前に出して手を開きなさい」

「は、はい」

 言われたように武茶志は差し出した腕の力を抜き手を開く。

「そうそう、開いた手の平に意識を集中して・・・」

 武茶志が掌に意識を集中すると掌が僅かに光る。

 その光は武茶志にも離れた場所で見ているミケラ達にも見えなかったが正面に立っているタマーリンにだけは見えた。

タマーリンがニコッと微笑む。


(Copyright2022-© 入沙界 南兎)

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