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ケットシー物語 トラスロット奔(はし)る 45

「舞台作っている間に買っておいたクッキーというお菓子よ、こうやって食べるの」

 ロレッタはクッキーを一口かじって見せた。

 真似てゆいも一口食べてみる。

 口の中にバターの香りと甘さが広がった。

「美味しい」

 ゆいは衝撃を受けた。

 ネビュラ・ナナには随分お菓子を貰ったが、それとはまるで違う。

 夢中になってゆいはクッキーを頬張る。

「気に入ってくれたみたいね」

 ゆいの食べっぷりにニコニコと笑うロレッタ。

「わたしの分も上げるわ」

 ロレッタは自分の分をゆいのお皿に移す。

「ふぁりがとございまふ」

「食べるか、話すか、どちらかにしなさいね」

 と言いながらロレッタが笑っているを見て、ゆいは安心する。

 ミームだったら、もっと厳しく怒られているところだ。

「ナナ様みたい」

 優しくされるとネビュラ・ナナと重ねてしまうゆいは、ロレッタにもネビュラ・ナナの姿を重ねていた。



「天使さんも、おうちの子になるの?」

 ミケラがロレッタに聞いた。

 マオも家の子になったので、ゆいもなると思って聞いたのだ。

「まだおうちに来たばかりだし、もっと仲良くなってからね」

「うん」

 ミケラは頷くと、ゆいのところまでトコトコと歩くと、

「天使さん、仲良くしよ」

 とゆいを見上げる。

「わたしも、わたしも」

 サクラーノもやって来て、ゆいの服を掴んだ。

「ほらほら、天使さんはクッキー食べてるんだから邪魔しないの」

 ロレッタがミケラ達を止める。

「だって」

「お姉ちゃん」

 二人はロレッタを見上げる。

「ダメよ、天使さんが食べ終わってからにしなさい」

「でも」

 ミケラとサクラーノは不満そうに口を尖らせる。

「あんまり我が儘ばかり言うと、お姉ちゃん怒っちゃうぞ」

 その一言に、ミケラとサクラーノは一瞬固まる。

 二人の目を見て、ニコッと微笑むロレッタ。

 ミケラとサクラーノはもう一度顔を見合わせ頷き合うと、そそくさと自分の席に戻っていった。

 ロレッタがああいう笑い方した後は、絶対に怒られるからだ。

 ロレッタが家では最高権力者であり、それに怒った後しばらく、食事に自分達が嫌いなモノばかり出からだ。

 ロレッタの食事が美味しいだけにこれはきつい。

 自分達の食事を守るために、下手に逆らってはいけないのだ。



「ゴメンね、妹たちが。慌てなくていいから、ゆっくりと食べてね」

 ロレッタは優しく微笑む。

「ありがとう」

 ミケラ達が嫌いなわけではないが、天使にあんな小さい子はいないので、どう接していいか判らずゆいは戸惑っていた。

 だから素直にお礼が言えたのだ。

 

後書きです


「ちょっと作者!」

「おやナナ様、先週に続きどうしました?」

「私が若い天使たちに変なもの食べさせてるような言い方、止めてくれる!」

「変ものとは言ってませんよ、コーラはキンキンに冷やしたのを飲むのは正義ですから」

「それは当然よ、アカシックレコードにも書かれた真理ですもの」

「やはり、宇宙創設以来の真理だったんだ」

「それとは別のことよ、別のこと」

「別のことと言いますと、うまい棒とかキノコやタケノコの話ですか?」

「そうよ、それしか食べさせてない言い方はやめて」

「じゃあ、他に何を食べさせてるんですか?」

「ポテチよポテチ、東映特撮を観るときはキンキンに冷えたコーラとポテチが欠かせないでしょ」

「この駄女神が」

「ぐっ」


また来週(@^^)/~~~


                          (Copyright2024-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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