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転生したら最強勇者になったが、住民の方が優秀だった件 その22

「さあ、次はクロ。貴方の出番ですよ」

「はい、お任せあれ」

 クロはそれだけ答えると、勢いよく走り出した。

「おい、クロ。どこに行くんだよ」

「僕、本気を出すと危ないので少し離れます。皆さんも近寄らないで下さいね」

 クロは走りながら大きな声で答えた。

「本気出すと危ないって、あいつ何するつもりだよ」

 チャトーラが首を捻る。

「本当だね、ただジャンプするのに何が危険なんだろうね兄ちゃん」

「俺に聞くなよ」

 チャトーラとチャトーミは走り去るクロをその場で見送った。

「クロが何をしようとしているのか判りませんが、武茶志、貴方はその辺りで待っていて下さいな」

 タマーリンが適当な場所を指差す。

 武茶志も言われるままに指定された場所に立って待つ。

 やがてクロが走るのを止め、両手を振るのが見えた。

「クロの方も準備が出来たようですわね」

 タマーリンは肩に掛けた鞄の中からストールを出すと手に持つ。

「それでは行きますよ、よーい始め」

 ストールを大きく振ってスタートの合図をした。

 同時に武茶志がジャンプし、10階建てのビルくらいの高さまで空中に飛び上がった。

「すげぇ」

「凄い」

 チャトーラとチャトーミが驚きの顔で武茶志の姿を見上げる。

 それはミケラも同じで、ぽかんとした顔で武茶志の姿を見上げていた。

「うぉぉぉ、ここに来てからの最高記録じゃない?」

 当の武茶志も驚いていた、昨日まで今の半分くらいしかジャンプ出来なかったからだ。

「なんか、お姫様に会ってから力が上がったのかな・・・あれっ?」

 異変に気が付いたのは空中で遠くを見渡せた武茶志が最初だった。

 離れた場所に走って行ったクロの身体が急に膨れだしたのだ。

「なんか、クロの様子が変ですよ」

 着地するなり、武茶志はクロの異変を伝えた。

 皆がクロに視線を向ける間に、クロの身体は縦にどんどん伸びていき、背中から黒い翼が生え、黄金色の光を身体から放ち始める。

 輝きを放ちながらどんどん大きくなっていくクロの身体がみるみる大きくなり、頭が雲に届きそうになったところでようやく止まる。

 片方の羽の長さだけでおよそ500メートル、細く長い身体は神々しいばかりの黄金色の光を放ち、その光はあまねく辺りを照らし出していた。 

 龍の神、神龍の出現である。

 神々しいクロの姿を、皆は唖然とした顔で見上げた。

「ギャルのパンティーをおくれ」

 反射的に武茶志は心の中で呟く。

 勿論ギャルのパンティが空から降ってくる事はなかった。

「皆さん、準備出来ました」

 頭の中にクロの声が響いた。

「ちょっと待て、準備って何だよ」

 チャトーラが怒鳴る。

「怒鳴らなくてもちゃんと聞こえてますよ」

「いやだから、準備って何なんだよ」

 チャトーラはこめかみに血管を浮き上がらせながら怒鳴らないで静かに聞く。


(Copyright2022-© 入沙界 南兎)

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