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ケットシー物語 トラスロット奔(はし)る 31

「えっ、どうしたの?」

「なんじゃ、なんじゃ」

「おわっと」

 突然の、ゆいの声に驚くトランスロット達。

「あっ・・・ご、ごめん・・・なさい」

 トランスロット達が自分を見ているのに気がつき、ゆいは慌ててトランスロットの背中に隠れる。



「急に変な声を出してどうしたの?」

 トランスロットが優しく聞く。

「あ、あの子達・・・」

 ゆいはステージで踊っているミケラ達を指さす。

「あの二人がどうしたの?」

「し、知っている子?」

「僕の妹たちだよ」

 妹という言葉にゆいは、

「へっ?」

 と言う顔でトランスロットを見上げる。



「妹って判る?」

「それくらいは・・・知ってる」

 地上の営みには疎いが、ゆいの後から生まれた天使を妹と呼ぶように言われているので、

「ト、トランス・・・ロットの後から生まれた子の事だよ・・・ね」

「そうだね」

 概ね間違っていないので、トランスロットは頷く。

「それで、僕の妹たちに何か?」

 再び聞かれてゆいはどうしようか考え込む。



 ネビュラ・ナナには二人がミサケーノの魂を宿している事は、

「絶対内緒、言ったらもう遊んで上げないから」

 と言われている、

 天使にとって、神であるネビュラ・ナナの言葉は絶対なのだ。

 が、それ以上に問題なのは、

「ナナ様が遊んでくれなくなる」

 と言う方が問題が大きい。

 基本、神も天使も食事を必要としなく、寝る必要もない。

 神の住まいには、これと言って娯楽もないので、暇を持て余したネビュラ・ナナは、どこか知らない世界の映像文化にはまっていた。

 ネビュラ・ナナのような力のある神なら、別の世界から娯楽を見つけ出すことも出来るが、天使ではそうはいかない。

 神に遊んで貰うのは、天使にとって数少ない娯楽なのだ。

「言ったら、ナナ様が遊んでくれなくなる」

 娯楽の少ない世界に住まうゆい達若い天使にとって、死活問題に等しい問題だった。



 必死になって頭を回し、なんとか言い分けを考え出す。

「ナ、ナナ様がよろしくって言っていたから・・・ナナ様、小さい子が好きだから・・・」

 考えて出した答えがこれだ。

「小さい子が・・・好きなの?」

 その問いに、ゆいは頷く。

「そうなのか・・・」

 こうしてネビュラ・ナナにロリコン神という二つ名が付く事になるとは、当のゆいは知らぬ事であった。



「そっか、小さい子が好きか・・・」

 ちっと意外と思う武茶士。

「予の身体を作ったのも、その神じゃからな・・・」

 納得するようにマオは頷くと、ゆいをじろじろと見た。

 見た目の年齢はトランスロット同じか、少し下くらい。

 背の高さはマオとトランスロットの中間くらいだ。

「お主も大変じゃったのじゃな」

 温かい眼差しでゆいの肩をポンポンと叩く。

 突然の事に、ゆいは意味が判らず、頭の周りを?マークが飛び回った。


                    (Copyright2024-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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