ケットシー物語 トラスロット奔(はし)る 27
「おっと、わりいわりい。そうか人と話すの苦手か、ごめんよ」
チャトーラはゆいに謝る。
「う、うん・・・わ、判ってくれるならそれで・・・」
少し怯えながらゆいは返事をした。
「俺、行くは。邪魔なようだからな」
チャトーラは踵を返すが、少し振り向き、
「がんばれよ」
とウィンクをしてから去って行った。
「あ、ありがとう」
ゆいはトランスロットの腕を握りしめながらお礼を言った。
「いいよ、ボクも人と話すのは苦手だし」
怯えるゆいを守ってやらないとと、強く決心するトランスロットだった。
だがトランスロットは知らなかった、ゆいの本性を。
それは直ぐに知ることになるのだが。
「トランスロット、その子は誰じゃ?」
見知らぬ少女といるトランスロットにマオが声をかけた。
「あ~~っ、あなたは魔王!」
マオの顔を見た瞬間、ゆいが素っ頓狂な声を上げた。
「ん?・・・確かに予は魔王じゃが、予はお主を知らぬぞ」
見覚えの無い相手に魔王と呼ばれて首を捻るマオ。
「あなた、ネビュラ・ナナ様のお住まいでず~~っと寝ていたもの、わたしを知らないのも当然よ」
ネビュラ・ナナという言葉に、マオは心の奥底でチクリと痛いモノを感じる。
「そ、その名前、聞き覚えがあるような・・・無いような・・・」
戸惑うマオ。
「あなた、時々目を覚ましていたけど、目を覚ます度にボケが酷くなるとミーム様がおっしゃっていたわ」
意外な事実に驚くマオ。
「予は、予は・・・ボケてなどおらんぞ!」
怒鳴るが、ゆいは気にせず続ける。
「ナナ様がボケ防止だと言って、寝ているあなたに話し掛けていたわね。確か・・・東映とか、昭和ライダーとか、本郷なとかは神とか・・・何だったのかな?」
マオの無駄知識の元凶はネビュラ・ナナだった。
「そうだ、ブルーなんとかの映像は直接、脳に送ったとか言ってたわ」
流石神様である、やりたい放題だ。
「な、なんと。予のよく判らないあの知識はネビュラ・ナナという神の仕業であったか。許すまじ」
マオはいつか天誅を喰らわしてやると心に誓うのだった。
「しかし、何故、予は子供の姿なのじゃ?魔王というのはもっと厳ついモノではないのか?」
キティーと衣装を作る時に、キティーが話してくれた魔王のイメージは、もっと厳つく怖いものだったのだ。
それが、今は八歳の女の子の姿なのである。
「それは寝ていた魔王が、完全に惚けてしまったかららしいわ。それで惚けを治すより新しくやり直した方が確実ねと言って、ナナ様が再生させたの。姿はナナ様の趣味かも」
知って驚く意外な事実。
なんと、魔王は寝ている間に惚け老人となり、一から人生・・・魔王生をやり直すことになっていたのだ。
後書きです
三周年記念短編も、先日投稿したので宜しくお願いします。
https://syosetu.com/draftepisode/view/draftepisodeid/1818465/
「変身せよミサケーノ」のタイトル通りミサケーノが活躍します・・・しますよ、するといいな。
読んでみてのお楽しみということで(笑)
久しぶりに「ラーメン赤猫」を観たら、止め時を失って一気に八話まで見てしまってやばかったです。
こっちも書かなければと、何とか戻ってこれましたけど。
原作の方は三期まで作れそうなくらいたまっているから、二期があると嬉しいな。
ではまた来週(@^^)/~~~
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