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ケットシー物語 トラスロット奔(はし)る 24

「どうだった?」

 戻ると黒妙が聞いてきた。

 隣でチャトーミも興味津々の目で見ている。

「フワッと包み込まれるようで、全然痛くなかった。気持ち良いくらいだったよ」

「気持ち良いの?」

 チャトーミが目を丸くして驚く。

 マットレスといえども、チャトーミや黒妙のレベルの速さで突っ込むとかなり痛いのだ。

「なんか、当たった瞬間にフワッと包まれる感じだった」

 それを聞いて黒妙はチャトーミと顔を見合わせてから、

「よっしゃ、確かめてくる」

 黒妙がやる気満々で前へ出る。

「次は、黒妙だ!」

「お~~っ!」

 チャトーラの声に合わせて黒妙は拳を突き上げた。

「やる気満々だね」

「やるからには全力で行く」

 笑う黒妙。

「そっれじゃ、行くよ」

 手を上げて合図をしてから、黒妙は宿でチャトーミに鍛えられた瞬発力を使い最大加速でマットレスに向かって走った。


 ポニョン


「本当に気持ち良いよ、これ」

 包まれるような感触に黒妙はうっとりする。

「どうだ、これ?」

 魔道研のリーダーに声をかけられてはっと我に返る。

「いや、なかなか良い感触だよこれ」

 素直に感想を言う。

「そうだろう、そうだろう。この感触を出すのに苦労したからな」

 筋肉隆々で真っ白な歯を見せて爽やかに笑うリーダーに、ちょっと引く黒妙。



「どうだった?」

 チャトーミが早く話てという目で、黒妙を迎える。

「本当に気持ちよかった、当たった瞬間にフワッと包まれるみたいで。うちにもあれ欲しいな、モモエル様に聞いてみるかな」

 真剣な目で黒妙はマットレスを見つめる。



「あのマットレス、当たっても痛くないのか」

 黒妙からも、痛くないという話を聞いて安心する。

 いくらマットレスでも、速いスピードで突っ込むと結構痛い。

「痛いのは嫌だな」

 チャトーミは勝負より、そちらの方を心配していたのだ。



「次、行くね」

 チャトーミが手を上げた。

「おう」

 受け手の魔道研から返事を貰い、チャトーミは走った。

 速い。

 観客はチャトーミが速すぎて、一瞬姿を見失う。

 

 ポニョン


 見失うのとほぼ同時に、気の抜けた音がマットレスから聞こえてきた。

「お嬢ちゃん、今までの中で一番速かったね」

 リーダーがチャトーミを誉めた。

 その顔には少し冷や汗が流れている。

「ありがとう」

 チャトーミはお礼を言って、足取りも軽く帰って行った。

「うふ」

 誉められたのでちょっと嬉しかったのだ。

 戻るとサクラーノに、

「走り出す前に、ちゃんと手を上げて合図するんだよ」

 ともう一度説明する。

「うん」

 サクラーノは返事をしてから舞台の前に出た。



「次はお待たせ、サクラーノだ」

 観客席も一気に盛り上がる。

 それはそうだろう、この余興のメインイベント、サクラーノが主役なのだから。

「あれ、倒せばいいの?」

 サクラーノがチャトーラを見上げる。

「おうよ、倒すなんて言わずに吹き飛ばしてもいいぜ」

「うん」

 チャトーラの言葉に素直に頷くサクラーノ。

「いくよ」

 合図を送ると、サクラーノは走った。

 瞬時に、


 バシュン


 と言う音がマットレスから今までと違う音が聞こえ、サクラーノの小さな身体がマットレスにめり込み、マットレスを支える男達は顔を真っ赤にし歯を食いしばってマットレスを支えている姿が見えた。

「サクラーノが負けた」

 その衝撃が会場全体を覆う。

 牛さえも跳ね飛ばすと恐れられていたサクラーノが、今、ここで食い止められたのだ。

「うぉぉぉ、魔道研すげぇぇぇ」

「よくやったぞ魔道研」

「サクラーノを止めるなんて凄すぎ」

 観客は惜しみなく魔道研に喝采の拍手を送った。

「やった、やりましたねリーダー」

「うう、やった、俺たちはやったんだ」

「ついにサクラーノに勝ったんだ」

 涙ぐみ、健闘をたたえ合う魔道研の面々。



「もう一回やっていい」

 サクラーノの言葉に、一瞬ピクッとしたが、

「ふははは、何度でもかかってくるがいい」

 と大人の対応をする。


 サクラーノは元の場所までゆっくり歩く。

 幼い頭が、どうしたらいいか最大限に回る。

「よし、次はこうしてみよう」

 何か思いついたようだ。



「いくよ」

 サクラーノは合図を送り、

「よし来い」

 返事を貰うと共に走った。

 瞬時に、


 パシュン


 と言う音が聞こえたが、音が聞こえた瞬間に、

「ここだ」

 サクラーノは更に一歩踏み込む。

「のわぁぁぁぁ」

 堪えきれずにマットレスもろとも、魔道研の面々が吹き飛ばされた。

「勝った」

 両手を挙げ、満面の笑顔でVサインをするサクラーノ。

「流石サクラーノだ」

「サクラーノ、王都一!」

「よっ、王都の走り王」

 観客席は先ほど以上に大騒ぎとなっていた。



 トランスロットは広場から少し離れた、舞台が見える路地裏の樽の上に座っていた。

 ミケラやサクラーノの時は舞台の袖で見ていたが、タマンサの歌が始まる直前にここに移動してきたのだ。

 タマンサの歌は好きだったが、自分の母親があの赤い服を着て歌う様に気恥ずかしさを感じて逃げてきたのだった。

 多感なお年頃のトランスロット。

 それでも、タマンサの歌と踊りは見たかったので、見える場所にある樽の上に座って舞台を見ていた。


 ふと何かを感じて空を見上げた。

 最初は小さな点だった光が、次第に大きくなり、白く輝く羽を持つ少女の形となる。

「天使だ」

 そう、天使が舞い降りてきたのだ。


 

後書きです


ネトフリでガンダム観ました。

ガンダム怖え。

ガンダムにストーキングされると恐怖でしかないですわ。

半分冗談ですけど、ジオンから見たら本当にガンダムは白い悪魔ですね。

気になったのが、ガンダムの顔がEz8ぽかったのと、グフカスタムやオデッサ作戦にジムが投入されていたので08小隊の世界かな?

でも陸戦ガンダム出てこなかっなたし違うか。


連絡事項です。

3周年記念短編の下書きはできました。

来週、本編を投稿するまでには投稿します。

ただ、やたら長くなったのでどこまで削れるかな?


ではまた来週(@^^)/~~~


                     (Copyright2024-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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