ケットシー物語 トラスロット奔(はし)る 5
「姫様~~」
唐突にチャトーミがミケラを抱き上げると、膝の上に座らせる。
「えへへへ」
それから嬉しそうにミケラの頭を撫でる。
ミケラの方もなすがままに、チャトーミの膝の上で頭を撫でさせた。
「仲良しなんだ」
キマシが羨ましそうに二人を見た。
「仲良しだよね~~」
「だよね~~」
「お、お姉ちゃんに頭撫でさせて貰っていかな?」
チャトーミとミケラの様子を見ていたレッドベルがサクラーノに聞く。
「うん、いいよ」
返事を貰い、レッドベルは怖々とサクラーノを抱き上げると、自分の膝の上に座らせた。
慣れない手つきでサクラーノの頭を撫でているのを横で見ていたロレッタに、
「もっと優しく、そっと撫でて上げて」
アドバイスを貰い、
「こ、こんな感じですか?」
「そうそう、サクラーノどんな感じ?痛くない?」
「うん、痛くない」
レッドベルの手つきもだんだん慣れてきて、気持ちよくなったのかサクラーノが身体を完全にレッドベルに預けた。
「おおっ、おっぱい、ポヨンポヨンだ」
サクラーノは頭にかかる感触に驚きの声を上げた。
「サクラーノちゃんは、おっぱい好きなのか?」
「う~~んと、お母さんもお姉ちゃんもおっぱいちっちゃいから」
速攻でロレッタの手がサクラーノの頭を掴む。
「余計な事は言わなくていいから」
ロレッタの目から発せられる圧に、
「ご、ごめんなさい」
気圧されて謝るサクラーノ。
「でも、おっぱいは大きいと色々大変だから、小さい人が羨ましいです」
レッドベルがしみじみ言う。
「そうなの?」
「はい、大きいと動く度に揺れるから動く邪魔にならないようにしっかりと抑えないとならないし、座っているだけでもずっしりと肩に重さがかかるから肩こりが酷いです」
切実な顔で訴える。
持つ者の悩みではあったが、
「結構大変なんだね」
ロレッタは小ぶりのスイカくらい有るレッドベルの胸を見ながら、
「確かに、あの大きさを胸に付けて歩くのは大変かも」
と同情するのだった。
「あなた、お姫様と仲良いの?」
キマシに聞かれて、
「うん、姫様とは友達だよ」
と答えるチャトーミ。
「いいな、わたしもお友達になりたいな」
「もうお友達だよね、姫様」
「うん、お友達だよ」
あっさりと返されて、
「いいの?」
「うん、いいよ」
「じゃあ、ギリもいい?」
「ギリって?」
首を少し傾げるミケラ。
「あたしだよ」
手を上げるギリ。
「キマシの友達なら、もう友達だよ」
ギリの事もあっさりと受け入れる。
ミケラは街の人達にも可愛がられていて、来る者は拒まずなのだった。
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