ケットシー物語 トラスロット奔(はし)る 1
街に戻ってきたミケラ達は、街の人々の熱烈歓迎ぶりに驚く。
「何なのこの騒ぎは?」
お妃様が、外の熱烈歓迎ぶりを訝しむ。
「ミケラ様~」
「お帰りなさいミケラ様~」
ミケラ達が門の前で馬車を降りると、騒ぎは益々大きくなる。
「うきゅ」
ミケラが驚いてタマンサにしがみつく。
「ちょっと静かにしてよ、ミケラが怯えてるじゃない」
張りのあるよく澄んだ声が響いた。
タマンサの叫びもあったが、ミケラが怯えているのを目にして、群衆も騒ぐのを止める。
白妙、黒妙を先頭に街の門を潜り中央通りを歩いて行く。
二人の後をお妃様が続き、ぎろっと睨むだけで両側に集まっている人々を黙らせる。
お妃の後にミケラが続き、両側からタマンサとロレッタがミケラの手を握って歩く。
その後ろにサクラーノとチャトーラとチャトーミ。
殿はモモエルとキティー、マオ、トランスロットだ。
小妖精達は街の騒ぎに気がついて、速攻で姿を消していた。
一行は中央通りを進み、広場に向かう。
広場には櫓が建っており、櫓の上には魔法投影機が三台設置されていた。
魔法投影機を見た瞬間、
「モモエル!」
お妃様とタマンサが後ろを振り返った。
「ひぇぇぇぇ、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
ひたすら謝り倒すモモエル。
「モモエルをあまり責めないで上げて下さいな」
そこへタマーリンがやって来た。
「タマーリン、あなたが仕掛けたの?」
お妃様が睨む。
「済みません、この騒ぎ、俺にも責任があって」
更に武茶士まで加わってくる。
「あら、あなたは確か・・・」
お妃様が武茶士の事を思い出そうとしている隙を突いて、
「いた、本当にいた」
キマシがミケラに飛びついた。
「きゃっ」
悲鳴を上げるミケラ。
「こら、小さい子供にいきなり抱きつくな!」
ギリがキマシの襟首を掴んで、むんずと引き剥がす。
「お嬢ちゃん、ゴメンね。あのお姉ちゃん、考え無しに行動するから」
レッドベルがしゃがんで、顔の高さをミケラに合わせて謝る。
「ミケラを虐めると、わたしが許さないぞ」
ミケラとレッドベルの間に、サクラーノが割り込み、ミケラを守るように手を広げた。
「あら、お姉ちゃん?」
「そうだ」
「違うもん」
「わたしの方が早く生まれたから、わたしがお姉ちゃんだ」
「三ヶ月しか違わないから、違うもん」
いつもの奴が始まった。
「はいはい、そこまで」
二人の間にロレッタが割って入った。
「お姉ちゃ~~ん」
不満そうに声を上げる二人。
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