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1話「泉の妖精 その4」

「ひっ、近寄ってきた」

「やばいじゃん、やばいじゃん」

「四露死苦・・・」

 空中で硬直したまま、妖精達は近寄ってくるミケラを恐怖の表情で見守る。

「で、でもこれはチャンスじゃん、あの虎猫はあのちびっ子に弱そうじゃん。ちびっ子に頼めば、あたい達の頼みを聞いてくるかもじゃん」

「おお、シルゥ頭いいな」

「四露死苦^^」

 ミミとリーが感心したようにシルゥを見た。

「で、誰があのちびっ子に頼みに行くんだ?」

 睨み合った後、その場で取っ組み合いのケンカになる。

「ケンカはメッだよ」

 止めに入ったミケラは素早く両手でミミとリーをむんずと捕まえる。

「いだだだだ、つ、つぶれるぅぅ」

「よ、四露死苦・・・・・・」

 ミケラに強く握られてもがくミミとリー。

「あっ、ごめん」

 ミケラが握っている手の力を緩めたので、慌てて手の中から抜け出すミミとリー。

「はぁぁ」

 抜け出してから、ミミは大きく溜息をつくと、

「いいよ、あたいがやるよ」

 覚悟を決め、一度深呼吸するとミミはミケラの前に出た。

 はにかむような感じでうつむきながら、

「姫さんにお願いがあるの」

 もちろんミケラの目を見ない為であるが、ミケラの目には自分を助けを求める可憐な妖精に映った。

「はい、妖精さん。何でも言ってね」

 ミケラは目をキラキラと輝かせて精一杯大きいな声で返事をする。

「あたい達が住んでいた泉が乗っ取られて、泉から追い出されたんだ」

「頼むじゃん、あのカエルを泉から追い払ってじゃん」

 興奮したシルゥが話に割り込んできた。

「カエル?」

 ミケラは首を捻る。

 ミケラの住む城の有る街は草原の真ん中にあり、カエルが住むような沼や池はなかったのだ。

 街の中やお城の中に噴水はあるが、綺麗に整備されていてカエルなどは住む余地はない。

 ミケラは一度もカエルは見た事が無かったのだ。

「あんたくらいなら、一飲みにしてしまえるくらい大きい化け物だよ」

「そんなに大きいの!」

 逆にミケラの瞳が更にキラキが増す。

「虎次郎」

「はっ、ここに」

 ミケラに呼ばれ、目にも止まらない速さで虎次郎がやって来て片膝をつく。

「はぇぇぇぇ」

 チャトーラが虎次郎の足の速さに驚きの声を上げた。

「兄ちゃん。走のタレントを持つあたし達よか速くない?」

 ケットシーは生まれた時、タレントと呼ばれる特殊な才能を一つ持って生まれるのだ。

 チャトーラ兄妹は二人とも走のタレントを持ち、足の速さにはかなり自信があった。

 走り自慢の二人よりも虎次郎がミケラの元に駆けつけた速さは明らかに二人より早い、驚くのも無理はない。

「妖精さんのお話は聞いていた?」

「問題ない、早速その大ガエルを切り捨てましょう」

「切っちゃダメ!泉から追い出すだけでいいの!」

 ミケラに怒られて虎次郎がへこむ。

「やーい、怒られた」

「怒られた、やーい」

 チャトーラとチャトーミが囃し立てる。


著作権表記追加                       (Copyright2021-© 入沙界 南兎)


2023/09/24 一部修正


                      (Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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