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外伝1「さすらいの勇者1ー131」

「ねぇ、あの光の玉こっちに来てるよ」

 キマシが周りに声をかける。

 突然、光の玉が砦の上に出現したのに最初に気がついたのはキマシだ。

 理由は簡単、他の者は周りの魔獣の動きに集中していてほかに気を取られる余裕がなかったから。 

 キマシは魔獣を見るのが怖かったのと、虹の柱の下にいるはずのサビエラの事が気のなって砦の方ばかり見ていたからだ。

「えっ、何よあの光の玉」

 キマシの声にギリがチラッと光の玉の方に視線を向けて、凍り付いた。

 信じられない速さでこちらに来るではないか。

 やがて光の玉の下に人がいるのに気がつき、それが武茶士だと判る。

「ええっ!あれ、武茶士にくっついてるの?」

 ギリが驚いて声を上げる。

「えっ、武茶士・・・ほんとだ、武茶士と一緒にこっち来てる」

 キマシも目を丸くして驚く。

 



 武茶士は尋常でない速度で走り、レッドベルの部下達のいる第五陣がの近くの手前で跳んだ。

 武茶士が大ジャンプする動きに合わせて、光の玉も動く。

 森側に左右に分かれて防御態勢を敷く第四陣と第五陣の頭を飛び越え、武茶士は第一陣の後方を守る第二陣の近くへと着地したのだ。




 因みに、第三陣は砦への待避を諦め、森へ逃げ込むとエルフ達から矢の補充を受けて第五陣を抜けた魔獣を攻撃していた。

 それも必要と無くなっていたのである。

 武茶士と共に光の玉が通り過ぎた後、魔獣達の戦意は喪失し、その場で呆然として動かなくなってしまったのだ。

 しかも、その魔獣を攻撃しようとすると、小さい女の子の声で、

「仲良くしないとメッなの」

 と怒られ、攻撃しようとする気持ちが無くなってしまうのであった。

「もしかして、あの声は魔獣にも聞こえているのか?」

 突然の魔獣の戦意喪失に、そうとしか理由が思いつかなかったのだった。




 それは武茶士の着地した第二陣の周りでも同じ事が起こっていた。

 突然、魔獣が攻撃の意思を示さなくなり驚くチェン達。

 第一陣と第二陣は盾による防御が種なので、そのまま盾を構えて警戒態勢を取ったが、前に出て魔獣を焼き払っていた虎次郎はそのまま攻撃を続けようとした、

「仲良くしないとメッなの」

 攻撃をしようとした虎次郎は、ミケラの声で怒られた。

「姫」

 慌ててミケラの姿を探してキョロキョロと周りを見回す虎次郎の姿は、どう見ても不審者にしか見えなかった。


                       (Copyright2024-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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