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外伝1「さすらいの勇者1ー119」

 時間は少し遡る。

 飛行型大型魔獣を誘導して崖の方へ飛行する船。

「この辺りでいいわね。わたしが牽制するから、タマーリンお願い」

「はい、うけたまわりました」

 タマーリンが虹輝障壁を解除するのと同時に、シルフィーナが風の剣を四本放つ。

 風の剣が二本ずつ、左右に分かれて魔獣の羽を狙う。

 魔獣の方も気がつき、回避行動を取りつつ、口からの怪音波で打ち消そうとする。

 シルフィーナは風の剣を上下に分かれさせ、打ち消されないように複雑な軌道で描いて襲いかからせる。

 激しい空中戦の末、風の剣四本全て命中し魔獣の羽を貫いたが、魔獣の巨体は僅かに揺らめいたのみ。

「あはは、やっぱ大きすぎて風の剣だけじゃダメか」

 とあっけらかんと笑うシルフィーナ。

「でも、あの位置に持っていくなんて流石に先生ですわ」

 飛行型大型魔獣は進軍してくる地上の魔獣の真上にいた。

 シルフィーナがその位置に来るように誘導したのだ。

「では、わたくしもお仕事を致しましょう」

 タマーリンが腕を振ると、いつものように火球が十個生み出される。

 だが、いつもより小さかった。

「速さ、優先ですの」

 誰にと言うわけでもなく説明するタマーリン。

 生み出された十個の火球は、音の速度を超えて飛びながら幾つにも分裂し、炎のカーペットを空中に作り出す。

 そして、火球による爆撃が始まった。

 火球の直撃を受け、飛行型魔獣の羽が燃え上がる。

 他の火球は地上の魔獣達に降り注ぎ、身体を焼く。

 大型飛行魔獣の影にいて火球の攻撃を免れた魔獣達の上に、炎に包まれた巨体が落ちてきて押し潰してしまう。

「これで宜しいでしょうか先生?」

 微笑みながら振り返ったタマーリンの目に虹の柱が立つのが写った。

「あら、どういたしましょう?」

 異変はシルフィーナも直ぐに気がつく。

「ここはもういいわ、行って上げて。後はわたしたちだけで、なんとかなるから」

「宜しくて?」

 頷くシルフィーナ。

 シルフィーナの返事と同時に、タマーリンは浮遊魔法と風魔法を同時に操り、空気を裂いて虹の柱を目掛けた空を駆けた。




 レッドベルは駆けつけた兵士達に守られていた。

 彼女を守るために防御が薄くなり、オオカミ型が次々と目の前を通り過ぎて行くのをレッドベルは唇を噛み締め耐える。

「回復は終わりました、もう歩けますよ」

 回復術士が、ったレッドベルの足の回復をしていてくれたのだ。

「本当か?」

 早速、立ち上がるレッドベル。

「おおっ、さっきより軽く感じるぞ。ありがとうな」

 回復術士の手を取ってお礼を言うレッドベル。

「わ、わたしは自分の仕事をしただけですから」

 レッドベルに手を取ってお礼を言われた術士は、照れ気味になるが周りからの刺すような視線に気がつき、慌てて手を離しレッドベルから距離を置いた。

「隊長、大変だ!あれ例の奴でしょ!」

 虹の柱が立ち上ったのに気がついた部下が叫ぶ。

 話はレッドベルから聞いていたのだ。

「サビエラ姉さん!」

 虹の柱はサビエラの危機の合図だ。

「助けに行ってくる」

 言うが早いか、レッドベルは砦を目指して走り出していた。


                         (Copyright2024-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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