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転生したら最強勇者になったが、住民の方が優秀だった件 その15

「チャトーミだから・・・・・・チャトーミすご~い」

 ミケラは無邪気にチャトーミを誉める。

「えへへへへへ」

 チャトーミは照れ笑いを浮かべる。

「そうだ」

 ミケラは何かを思い付いてチャトーラの元にトコトコと歩いて行った。

「それ、私が置いてくる。私が持ってきたんだから」

 チャトーラの手から白い玉を取るとミケラは虎次郎の差している日傘の下へと走った。

「置いてきたよ」

 日傘の影の中に消えたミケラは直ぐに戻ってきて手を振る。

 消える前に持っていた白い玉はもう手の中には無い。

「何度見てもたいしたモノですね」

 武茶志がミケラの影渡りに心の底から感心しする。

「本当に見事なモノです、お姫様の年齢であそこで影渡りが出来るのはたいしたモノですよ」

 クロもミケラの影渡りを誉める。

「流石、ミケラ様ですわ」

 タマーリンはミケラが誉められて嬉しそうに笑う。

「でも、ミケラ様の本当の力は・・・」

 そっと小声で呟く。

「そうですね」

 その声が聞こえたのか、クロが同意するかのように頷いた。



「それじゃあ、走りの方をもう一度やり直すぜ」

 チャトーラが大声で叫ぶ。

「偉そうにすんな」

「誰の所為じゃん」

「四露死苦」

 小妖精達が一斉にチャトーラの頭をポカポカ叩く。

「いててて、悪かった、悪かったよ」 

 頭を抱えてチャトーラは小妖精達から逃げ回る。

「はいはい、おふざけはそこまでですよ」

 タマーリンが手を叩いて小妖精達を止めた。

「あなた、まだ走れますか?」

 武茶志に尋ねる。

「少し休んだから走れますよ」

「そう、それではチャトーラ準備なさい」

 問答無用だった。

 チャトーラも素直に従い、スタート位置に立つ。

「勇者頑張れ~~~っ!」

「死ぬ気でその茶色いのを負かすじゃん」

「よろしく~~~~ぅ」

 小妖精達は武茶志の応援に回る。

「兄ちゃんガンバれぇぇぇぇぇ」

 チャトーミも負けじと声を張り上げてチャトーラを応援し、その横でミケラも、

「チャトーラ頑張れ」

 と力一杯手を振って応援した。

「それではいきますわよ、よ~いドン」

 タマーリンがスタートの合図をすると同時に武茶志が勢いよく走り出した。

 一度走って身体が温まったのか、その勢いは先程より速い。

 そして、何故かチャトーラは走り出していない。

「おっと、靴紐が解けている。これじゃあ走り出せねぇ」

 わざとらしいくらいに大げさな声を出して靴紐を直しだした。

「やったぜ、茶色の負け確定だ」

「勇者の勝ちで決まりじゃん」

「よろしく~~~」

 小妖精達は狂喜乱舞で喜ぶ。

「兄ちゃん、何やってんの!」

「チャトーラはやく~~」

 ミケラとチャトーミがチャトーラに大声で応援するが、チャトーラはもたもたと靴紐を直す。

 武茶志は既に道の半ばまで達していた。

「そろそろいいか」

 呟くとチャトーラは立ち上がった。

「じゃっ、姫様行ってくるぜ」

 言うなり走り始める。

 それはまるで風、一陣の風が吹き抜けるように武茶志を追い、追い着き、抜き去っていった。


(Copyright2022-© 入沙界 南兎)

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