表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
354/589

外伝1「さすらいの勇者1ー89」

「武茶士、しっかりしなさい。男の子でしょ?ここはガツンと決める場面ですわよ」

 タマーリンがハッパをかける。

「で、でも俺なんて言えばいいか・・・」

 恋愛経験が無いので判っていても動けないでいた。

「最初はご飯だよ、ご飯食べに行こうでいいんだよ」

 キマシが横から応援する。

「そうだぞ、サビエラ姉さんだって断ったりしないぞ」

 レッドベルの言葉にサビエラは下を向いて小さな声で、

「うん」

 と言い、期待を込めた目で無茶士の顔を見上げる。

 武茶士は唾を飲み込むと意を決して、

「さ、サビエラさん、い、一緒にしょ、食事でも・・・」

「はい」

「いいんですか?」

「はい」

「や、やったぁ!」

 ガッツポーズをする武茶士。

「そ、それじゃあ今夜の夕食でも」

「はい」

 満面の笑みで頷くサビエラ。

「じゃ、じゃあ、今日の夕方迎えに来ます」

「お待ちしています」



 その後、武茶士は三人娘を引き連れ部隊に戻った。

 部隊に戻ると、再び訓練。

 武茶士はまたヒットと格闘の練習をすることにする。

 最初の内は問題なく練習メニューをこなし、ヒットとの手合わせもそつなくこなしていたが、待ち合わせの時間が近くなるに従ってそわそわし始め、練習に身が入らなくなる。

「ちょっと武茶士、しっかりして下さい。今のは避けられてましたよ」

 ヒットのいいパンチをまともに食らい、吹き飛ばされた武茶士にヒットが駆け寄る。

「いててて」

 パンチを食らった頬をさする武茶士。

 結界は自動防御して守ってくれるが、ヒット程のパンチとなると意識を集中して魔力を送り込まなければ完全に防ぐことが出来ないのだ。 

「さっきから集中力を欠いて、変ですよ。何か有りました?」

 ヒットが心配そうに無茶士の顔を覗き込んでくる。

「う、うん。この後デートなんだ」

 武茶士は照れ臭そうに笑う。

「デートですか・・・それはいいですね。お相手は・・・・・・昨日来ていたの、可愛い感じのケットシーの方ですか?」

 バレバレだった。

「そうだけど・・・なんで判ったの?」

 ヒットはやれやれという顔をして、

「あれで気がつかない方がどうにかしていますよ」

「そ、そうか」

 顔を赤くして照れ臭そうに下を向く武茶士。

「ただ、俺。デートとか初めてだから、何したらいいか判らなくて・・・ちょっと怖い」

 前世も含めてデートは初めてだったのだ。

「俺さ、前の世界でもモテなくてデートかしたこと無くて・・・嬉しい反面、怖いという気持ちも有ってさ」

 自分の気持ちを素直に吐露とろする。

「ボクも修行にかまけてばかりいて女性とは縁遠いので偉そうなことは言えませんが、いつも通りの武茶士でいいと思いますよ。試合でも、変にかっこつけようとするとうまくいきませんから。自然体で望むのが一番力が出ます」

 ヒットらしいアドバイスだったが、

「ありがとう、お陰で肩の力が抜けたような気がする」

「いえいえ、友達じゃないですか」

 爽やかに笑うヒットの見て、

「ヒットと知り合えて良かったよ」

 武茶士も笑う。


(Copyright2024-© 入沙界南兎(いさかなんと))

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ