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外伝1「さすらいの勇者1ー77」

「でもヒットも凄いよ、次々といろいろな技を駆使してさ・・・もっと色々教えてくれ」

 武茶士は気でそう思い、それはヒットにも伝わった。

「いいですよ、みっちりとしごいて上げます」

 ヒットも笑って答えた。

 構え直す二人。

 最初はいつもの動きだったが、ヒットが身を沈めてからがまた違った。

 武茶士が真後ろではなく、ヒットの足払いが来るのと反対方向の斜め後ろに飛んだのだ。

 これなら足払いも、さっきの後ろ蹴りも回避出来る。

 しかし、ヒットは攻撃を止めようとせず、両手を地面に着いてそのまま真後ろに武茶士が飛んでいれば、武茶士の身体を貫く程の勢いで足から飛んだ。

 飛ぶ先に武茶士の身体は無く、ヒットの身体は武茶士の横を通り過ぎて行ったが、ヒットは着地と同時に身を屈めるとジャンプし、武茶士の背後から空中回し蹴りを放つ。

 この連続攻撃には武茶士は反応が遅れ、結界をクッション化する暇無くかろうじて強化するのが精一杯だった。

 力を吸収しきれず、飛ばされる武茶士。

「まいった、まいった」

 地面に転がりながらを笑う武茶士に、

「大丈夫ですか?」

 ヒットが駆けつけてきて心配そうに無茶士の顔を覗き込む。

「本当にヒットは強いと思ったら、なんか嬉しくなってさ」

 立ち上がると、

「俺をしっかり鍛えてくれ」

「任せて下さい」

 がっちりと手を握り合う二人。





 その二人の上を大きな黒い影が通り過ぎて行った。

「なんだ?」

 と上を見上げる二人。

 昨日、武茶士達が乗った船より遙かに大きい船が数隻、飛び去っていくのが見えた。

「あれ、魔術師が乗ってる船だよな?」

「そうです、よく知ってますね」

「昨日、知り合いの魔法使いに乗せて貰ったから」

「ああ」

 武茶士の説明に納得するヒット。

「でも変ですね、魔術師達が出動したという事は魔獣が出たという事ですよ。それなのに警報の鐘が鳴っていません」

 魔獣が出た時は警報の鐘が最優先で鳴らされ、それを聞いて各部隊は所定の行動をするようになっているのだ。

 魔術師の乗った船は空中を進むので、地上を徒歩で進む戦士達より遙かに機動性は高い。

 戦士のように武具の準備も殆ど必要としないので、同時に準備を始めても魔術師達が先に出るのは常だった。

 余程の緊急事態でもなければ鐘が鳴る前に魔術師が動く事はないのだが・・・

「何か緊急事態が起こったのかもしれませんね」

 それから昼食休みになるまでの間、魔術師を乗せた船が何度も往復していったが、警報の鐘が鳴る事は一度も無かった。


                        (Copyright2024-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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