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外伝1「さすらいの勇者1ー63」

「砦の上なんてしょっちゅう飛んでいるから珍しくないけどさ」

 シルフィーナがやれやれという肩を竦めながら、

「でもあんな小さいのが単独で飛行して、こうやって映像を寄越すのは凄いね」

 一つ目ちゃんの価値にシルフィーナは直ぐに気がついた。

「結構あの子、小回りも利いて早く飛べますのよ」

 タマーリンは既に王都でミケラ達の鬼ごっこを中継しているのを見ているので、詳しいのだ。

「サビエラ、飛行能力がどのくらいあるか見せて差し上げて」

 タマーリンが席から声をかけた。

「はい、タマーリン様」

 サビエラは裏方の方に目をやり、ジェーンは問題ないよとばかりに頷く。

「では、最初は最大速度」

 一つ目ちゃんの飛行速度が上がる。

 コウモリ型なのでそれほど速く飛べるわけではないが、それでも馬より速い。

「それでは次は曲芸飛行です」

 一つ目ちゃんが突然、地面目掛けて突進する。

「地面にぶつかるぅぅぅ!」

 三人娘達が反射的に手で顔を守ろうとしたが、一つ目ちゃんは地面すれすれで反転して上昇する。

 上昇しきった所で反転して、そのまま錐揉みしながら地上すれすれを飛んで簡易天幕の上空で止まった。

「ほほう、なかなか機動性もあるな」

「そうですね、あれだけ動ければ面白い使い方も出来るかもしれないですな」

 ジークとクロウベルはアクロバット飛行している一つ目ちゃんからの映像にも臆する事無く、どっしりと椅子に座って動じた様子は微塵も見せていない。

 キマシ、ギリ、レッドベルの三人は錐揉み飛行のところで目を回し、三人とも椅子からずり落ちてしまっていた。

「三人とも大丈夫?」

 サビエラが駆け寄ると手を貸して立ち上がらた。

「お姉さん、ありがとう」

「お姉さん、ありがとうございます」

「お、お姉さん、感謝するぞ」

 三人ともサビエラの事をお姉さんと呼ぶ。

「ちょっとお姉さんて呼ぶのやめてくれない・・・それはわたしは少し年上だけど」

 口の中でブツブツ呟く。

「そうだ、あなた達、歳は何歳なの?」

 唐突に思いついて聞いてみた。

「わたしは十六歳だよ」

「あたしもキマシと同じ十六です」

「わたしも十六歳だぞ」  

「へえ、みんな同じ歳なんだ」

 とサビエラは驚いたが、

「へっ、ベルはわたしと同い年?」

「いやっ、ギリがキマシと同じ歳という方が驚きだぞ」

「どうせあたしはおばさん顔だよ!」

「わぁあ、ギリが切れた」

 とサビエラの話を聞いていなかった。




「サビエラ、ちょっとこちらにおいでなさい」

 タマーリンが声をかけた。

「何でしょうタマーリン様」

 呼ばれてサビエラがタマーリンの元まで走る。

「渡すのを忘れていましたのですけれど、これをお持ちなさい」

 胸の谷間の間から指輪を取り出してサビエラに渡す。

「これは?」

「もしもの時はその指輪をお使いなさい、先ほどわたくしが使った虹輝障壁こうきしょうへきが出ますわ。広い場所より部屋の中で使った方が効果的ですわよ」

 暴風から乗っていた飛行船を守った障壁だ。

 もしも、魔獣が砦の中まで入ってきた時に使えと理解したサビエラは、

「ありがとうございます」

 タマーリンに頭を下げる。

「ただし、それほど長くは使えませんから・・・無茶士、もし虹の光が天に昇るのを見たら死に物狂いで駆けつけなさい。サビエラに二度と会えな無くなるなんて事になりたくないならですわよ」

 最後はかなり真剣な目でタマーリンは無茶士の目を見つめて言った。

「判りました・・・サビエラさん、俺が絶対に助けに駆けつけますから」

 無茶士は自分に言い聞かせるように決意表明する。

「はい」

 その声には、もしもの時は無茶士が必ず助けに来てくれると言う信頼がこもっていた。




「あなた達もお願いね」

 タマーリンは三人娘やジーク達にも声をかけた。

「任せておけ、もう二度と技術者達に犠牲は出さねえ」

 六年前に技術者に犠牲を出した事で前司令官は職を辞し、代わりにジークが司令官として赴任したのだ。

「うちの隊はわたしが鍛えてるから、防御は硬いいよ。魔獣は一匹だって後ろに通さないから」

 レッドベルが胸を張る。

「わたしも練習している魔法が出来るようになれば、魔獣なんて通さないからね」

 キマシもない胸を張る。

「あたしは・・・周りを見ているからもし、虹の光が上ったら無茶士に教えるよ」

 ギリは胸を張らずに片目をつむって親指を立てた。

「ありがとう、宜しくお願いしますわ」

 タマーリンは皆に頭を下げるとシルフィーナと共にその場を後にした。




「わたし、胸の間から指輪を出すのを初めて見たぞ」

「あたしも初めて、本当にやる人いるんだって驚き」

 レッドベルとギリがひそひそと話す。

 その横でキマシは、自分の胸に手を当てて、

「ぢぐじょぉ」

 血の涙を流すのであった。

後書きです


またやってしまった。

間違えてナイト・クラン・ウオーの方に投稿してしまいました。

疲れているのかな?

寝不足は否定できないですけど。

きちんと寝ないと思わないところで失敗しますね。

今夜は早く寝よう。


ではまた来週(@^^)/~~~


                  (Copyright2024-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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