外伝1「さすらいの勇者1ー59」
「先生、今までにどれくらいの男の方とお付き合いした事があるんですか?」
真摯な目で見つめるレッドベル。
「げふっ」
その質問を聞いた瞬間、キマシは吐血して倒れる。
「先生、大丈夫ですか先生」
駆け寄るレッドベル。
「キマシは今、二十五連敗中だもんね」
「違う、二十四連敗中だもん」
立ち上がってギリに食って掛かるキマシ。
「大して違わないじゃない」
「全然違うもん」
話が見えずきょとんとするレッドベル。
「キマシは現在、二十四回告白して二十四回フラれているの」
「うるさいな、わたしの魅力が判らない男がみんな悪いのよ、フンッ」
キマシは頬を膨らませるとあらぬ方を見る。
「でもキマシは可愛いとわたしは思うぞ、どうしてモテないんだ?」
ギリがぷっと吹き出す。
「黙って座っているだけならキマシは美少女で通用するんだけどね、口を開くとダメなのよ。あっという間にドン引きされちゃって」
「ううう、もう、ギリのバカバカバカ」
キマシはギリをぽかぽかと殴る。
「あははははは」
笑いながら逃げ回るギリ。
「キマシは黙って座っているだけなら美少女で通るのに、話した途端にドン引きされると」
ギリの言った事をきちんとメモするレッドベル。
「ちょっとベル、何メモしているのよ」
「キマシの事だ。折角出来た友達の事は、きちんとメモしておかないとな」
「そんなのはメモしなくていいの」
「なんでだ?」
「しなくてもいい物しなくていいの」
「やだ、する」
レッドベルとキマシが言い合いを始めた。
「二人とも止めなさいよ」
ギリが間に入って止める。
「なんで止めるのギリ」
「そうだ何故止めるのだギリ」
「はいはい」
ギリは二人の苦情を完全スルーする。
「キマシ、何故メモされたら嫌かベルに説明しないと判らないでしょ。ただ嫌って言われても、ベルだって困るでしょ」
「あっそうか、ベル御免」
素直に謝るキマシ。
「キマシはお喋りなのに説明が下手」
メモを取り始めたレッドベルの手を、
「なんでもメモを取らない」
ギリが止めた。
「何故だ?わたしは友達の事をメモに取っておきたいのに」
「人の恥ずかしい所はメモに取っちゃダメ、ベルだって自分が失敗した所をメモに残されて、後で読み返されるとか嫌じゃない?」
「それは嫌だ」
「でしょ、だからこれからメモをするのは自分に役に立つ事と後で読み返してもみんなが楽しめる事だけにしよう。自分がメモに残されて嫌と思う事は残さない、判った?」
「うん判った・・・今のは役に立つからメモしてもいいだよ・・・な?」
ギリが頷くのを見て早速メモするレッドベル。
「でもさ、ギリってまるでお姉さんみたいだな」
「うんうん、わたしもギリを頼りにしてる」
「やめてよお姉さんだなんて、斥候なんてやっていると色々トラブルに巻き込まれる事があるから仲裁スキルとが上がるのよ、それだけだから」
「そうかギリは仲裁とかが得意なんだ・・・わたしは剣かな・・・後は体力には自信があるぞ」
「わたしは魔法、さっき高速詠唱誉められたし・・・後は、後は・・・・・・」
「明るい性格の所はあたしは好きだよ。一緒にいて楽しい」
「そうだな、キマシといると気持ちが明るくなる」
「ベルだって、一緒にいると楽しいよ」
三人は顔を見合わせて、あはははははと笑った。
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