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外伝1「さすらいの勇者1ー54」

 しばらく入ってくる人影もなく、もう誰も来ないのかなという空気が簡易天幕の中を満たした始めた頃、一人の男が入ってきた。

「レッドベル、そこのバカ・・・ジーク指令を司令室に連れてくるように頼んだはずなんだが」

 レッドベルの父親、クロウベルだった。

「お父様、すみません。色々とあって・・・」

「そうだぞ、クロウベル。ベルがあの男に嫁にしろと騒ぐは、鎧を脱いで抱きつくはで大騒ぎだったんだ・・・ベルを責めるな」

 どう聞いても火に油を注いでいるようにしか聞こえない。

「ほう、あの男がうちのレッドベルと」

 クロウベルは無茶士の方を見た。

 その瞬間、無茶士は自分の首が撥ね飛ばされたような錯覚を覚える。

「な、なんだ今のは?」

 自分の首が繋がっているか確かめる無茶士、そこへクロウベルがやって来た。

「君、ちょっといいかな?」

 声をかけられ、声の主を見上げた無茶士は自分をミジンコかゾウリムシを見るような視線とぶつかった。

「は、はい・・・なんでしょうか」

 その視線にきょどる無茶士。

「うちの娘・・・レッドベルをめとるとか、鎧を脱いだレッドベルに抱きつかれたというのは本当かね?」

 発する言葉の下に、



「このミジンコ野郎、ぶち殺すぞ!」



 言う殺意をひしひしと感じながら、武茶士は息を飲み答える。

「よ、嫁にしろと言ってきたのは彼女の方で・・・だ、抱きついてきたのも彼女の方で・・・すか・・・」

 最後まで言えなかった。

「貴様、よくもうちの娘を弄びやがったな・・・今すぐなますに下ろしてくれる」

 いきなり胸ぐらを掴まれ、持ち上げられる。

 あまりの速さに結界で防御する暇すらなかった。

「その男、他にも女がいますのよ」

 横からタマーリンがぼそっと言う。

「こ、こいつ」

 胸ぐらを掴まれて身動き出来ない無茶士がタマーリンを睨むが、

「ほんと、女に手が早くて困りますわオ~ホホホホホ!」

 タマーリンの高笑いを聞いて無茶士は、

「こいつは火の油どころか、燃えさかる火に爆弾を投げ込む奴だった」

 と思い出す。

 それで冷静になった無茶士は結界に少し力を込めてクロウベルの腕から逃げた。

「な、なんだ今の力は?」

 驚くクロウベル。

「お父様、そいつは変なタレントを持っているぞ。わたしの剣を素手で受け止めたぞ」

「な、なに!レッドベルの剣を素手で防いだだと・・・」

 心の底から驚くクロウベル。

「本当かジーク、今の話?」

 ジークに確認を取る。

「ああ本当だ、暴れるベルの剣をその男は素手で受け止めていたな」

 レッドベルに剣を教えたのはクロウベルだった。

 暇があれば、今でも家でレッドベルの剣の相手をしている。

 故にレッドベルの剣の重さ、速さは誰よりも知っているのだ。

「並の男では、盾を構えていてもレッドベルの剣は防げない」

 それがクロウベルのレッドベルに対しての評価だった。

「君、名前はなんと言う?」

「無茶士、宮本無茶士です」

「無茶士の方が名前かな?」

「はい」

 ケットシーの中にはたまに変わった名前の者が混ざってくることがあるので、砦の副司令を務めているクロウベルは直ぐに理解したのだ。

「きみぃぃぃ、アーマーの名を引き継ぐ気はないかい?無茶士・アーマー、なかなかいい響きじゃないか」

 武茶士の肩をバンバン叩くクロウベル。

 話が見えずどう答えればいいか無茶士は迷う。

「ど、どういう事ですか?」

「ここまで言って判らないとは、君は想到鈍いですね?うちの娘の婿になりなさいと言っているんですよ」

 親馬鹿だった。

 それを聞いてお腹を抱えて笑い出すタマーリン。

「お断りします」

 無茶士は速攻で断る、当然だろう、既にレッドベルとは決着が付いているのだ、ここで蒸し返されても迷惑以外の何物でも無い。

「どうしてだ、親の自分から言うのも何だがレッドベルは可愛いぞ。貴族で生活にも困らんし、こんな話そうそう無いと思うが」

 親馬鹿ではなくバカ親だった。

 タマーリンは笑いすぎて椅子からずり落ち、そのまま地面で笑い転げる。


後書きです


最近不調気味。

昨日も一日寝て過ごしていました。

何をするにも体力大事なとしみじみ思いました。

皆さんも身体には気を付けてくださいね。


また来週(@^^)/~~~


                    (Copyright2024-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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