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外伝1「さすらいの勇者1ー52」

「おっ、始まるのかな?」

 ギリが簡易天幕の方を向く。

「そうだね」

 キマシがワクワクした顔でギリの見ている方を向いた。

「なに、なに?何が始まるんだ?」

 レッドベルは訳が判らず困惑する。

「よく判んないけど、面白いモノを見せてくれるらしいよ」

「面白いモノ?」

 キマシの説明に更に訳が判らなくなるレッドベル。

「見れば判るって」

「行こう、ベル」

 ギリとキマシが両側からレッドベルの手を引く。

「そうだな、行こう」

 三人は手を取り合い、簡易天幕を目指して走った。




「若いっていいわね」

 走って行く三人を見送りながらシルフィーナが溜め息をつく。

「先生もまだまだ、お若いですわよ?」

「ありがとう、タマーリン。エルフの中では若手だけどもう二百年生きてるから、あんな元気ないわよ。ああ言うのを見ると眩しくて目を開けていられないわ」

 再び溜め息をつくシルフィーナ。

「ここで溜め息をついていても仕方ありませんわ、わたくし達も参りましょう」

「それもそうね、溜め息ばかりついていたら余計年寄り臭くなるだけだものね」

 タマーリンとシルフィーナも簡易天幕を目指してゆっくりと歩き出した。





「いっちばぁん」

 途中までは仲良く手を繫いで走っていた三人だが、途中から競争になりレッドベルが一番最初に簡易天幕にたどり着いた。

「くそっ、負けたか」

 ギリがほんの差で二番手になった。

「ベル、足早いな」

「わはは、日頃から鍛えてるからな」

 胸を張って自慢するレッドベル。

「あたしも足に自信あったのに、ショックだな」

 ギリは戦闘能力が低い分、周りをよく見て素早く動くのが得意だ。

 時には一目散で逃げる必要もあり、走るのにはそこそこ自信がったのだが、僅差とは言え、プレートアーマーを着たレッドベルに負けたのはちょっと自信に傷が付いてしまった。

「まっ、待ってよ、二人ともぉぉ」

 そこへヘロヘロなキマシがようやく追いついてきたのだ。

「遅いぞキマシ」

「しっかりしなさいよキマシ」

 レッドベルとギリが腰に腕を当ててキマシを迎える。

 二人の所にようやくたどり着いたキマシは、そのまま地面へとへたり込んだ。

「わたしは魔法使いだよ、体力無いんだよ。二人と一緒にしないでよ」

 杖にすがりつき、苦しそうに息をしながら二人に文句を言う。

「それだけ文句が言えるなら大丈夫だね、ほら」

 ギリが手を貸してキマシを立ち上がらせた。

「ベルも行こう」

「おう」

 三人は簡易天幕の中へと入っていった。


                     (Copyright2024-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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