外伝1「さすらいの勇者1ー51」
「隙あり、食らえおっぱいアタッァァァァク!」
レッドベルの胸に一瞬目を奪われて無茶士は、反応が遅れ、その攻撃をもろに食らってしまった。
柔らかい大きな膨らみが無茶士の胸に押しつけられる。
「どうだわたしのおっぱい?わたしを嫁にすれば毎日これをやってやるぞ」
その言葉に一瞬、心引かれる無茶士、がサビエラがもの凄い顔で睨んでいるのに気がつき我に返る。
「お断りします」
同時に結界に力を込めてレッドベルを弾き飛ばす。
結界に弾き飛ばされたレッドベルは尻餅をついたが、直ぐに立ち上がる。
「どうして、どうしてわたしじゃダメなんだ。わたしのおっぱいじゃ満足出来ないのか?」
駄々をこね始めた。
そこへサビエラが走り込んできて、無茶士を守るように立ち塞がる。
「いい加減にしなさい、無茶士さんが迷惑がっているでしょ!」
「なんだお前、こいつはお前のじゃないだろ?」
と言われサビエラは、
「無茶士さんはわたしのです!」
と叫んでしまう。
それに、
「よく言ったサビエラ」
「よく言いましたわサビエラ」
ジェーンとタマーリンがグッジョブとばかりに親指を立てる。
当のサビエラは顔が火が出るのではと思う程顔を真っ赤にして、下を向いてもじもじとしていた。
「そうか、そいつはお前の何だな・・・だったら諦める、お父様が人の物は取ってはダメと言っていたから」
肩を落とし、とぼとぼと元来た道を引き返すレッドベル。
あまりにも素直すぎて、サビエラは少し胸が痛くなる。
「お前面白いな」
とぼとぼ歩くレッドベルに、ギリが声をかけた。
「誰だお前?」
「あたしはギリ、こっちは・・・」
「キマシだよ」
「そのギリとキマシがわたしになんの用だ?」
「友達になろう」
キマシがレッドベルに駆け寄り、手を握った。
「このわたしと・・・友達?」
「うん」
ニコッと笑うキマシ。
「どうしてだ?どうしてわたしと友達に?」
「一緒にいると面白そうだから・・・それじゃダメ?」
僅かに首を傾け、上目遣いで見上げるキマシ。
「あっ、なんか可愛い」
キマシの仕草がレッドベルのハートを打ち抜く。
「よしなろう、直ぐなろう!」
「やった、よろしく」
嬉しそうに笑う二人だったが、レッドベルの表情が少し曇る。
「・・・でもわたし、友達が出来たのは初めてなんだ・・・どうすればいいか判らない」
意外な告白に、
「え~っ、なんで?」
驚くキマシ。
「貴族・・・特に女の子はあれこれうるさくて友達を作りにくいんだ・・・だからわたしは剣一筋で頑張ったら、みんなに避けられた」
社交界でぼっちの存在になってしまったのだ。
「貴族というのも大変なんだね」
それからキマシはレッドベルの手を取り直して、
「でも友達なんて普通でいいんだよ、普通に集まって、普通にお話しするだけでいいんだよ。それで困った時、お互いに助け合えばいいんだ」
「そうなのか、それだけでいいのか?」
「うん」
明るく返事をするキマシ。
「それじゃあ、よろしく。わたしはキマシ・タワー、キマシって呼んでね」
「あたしはギリ・ギリヤ、ギリでいいよ」
「わたしはレッドベル・アーマーだ、ベルと呼んでくれ」
レッドベルはジークの方を向くと、
「ジークおじさん、わたしに初めての友達が出来た。キマシにギリだよ~~っ」
叫びながら手を振る。
「ベル、それは良かったな・・・二人とも、ベルのことを頼んだぞ」
「は~~い」
キマシとギリもジークに手を振る。
「皆さん、お待たせしました。準備が出来ましたのでこちらにどうぞ」
簡易天幕の中から大きな声が聞こえてきた。
後書きです
レッドベル、如何でしたか?
やっていることは目茶目茶なんですが、根はいい子なんですよ。
その点もおいおい、書いていく予定です。
因みに、脳内での声は早見沙織です。
皆さんもよろしくお願いします(笑)
ではまた来週(@^^)/~~~
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