外伝1「さすらいの勇者1ー50」
「これもダメなの・・・そんなぁ」
レッドベルはその場にへなへなとへたり込んでしまう。
そして、
「うわぁぁぁぁぁぁぁん」
子供のように大声を上げて泣きを始める。
「こ、これベル、落ち着け」
ジークが泣き止まそうとするが、どうしていいか判らずレッドベルの周りでオロオロとするだけだった。
唐突にレッドベルは泣き止む。
「あいつ強い・・・よし決めたっ」
立ち上がると無茶士のとこまで歩いて行き、
「な、なんだ」
と身構える無茶士。
「お前強い、だからお前の嫁になってやる。喜べ」
「へっ?」
唐突のことに目が点になる。
「ちょっと、ちょっと待てって。何故そんな話になる」
「わたしはお父様か、わたしより強い男の嫁になると決めていたんだ。だからお前の嫁になる」
それを聞いた習慣、
「関わったらやばい娘だ」
と無茶士の直感が告げた。
「それは君の都合だろ、俺にも都合って物があるんだ」
チラッとサビエラの方を見る。
「なんでだ、自分で言うのもなんだけどわたしは可愛いぞ。家は貴族だか生活にも困らないぞ、どこに不満がある!」
ぐいぐい迫るレッドベル。
「ふざけるな、人を好きになるっていうのはそんなんじゃないんだ!ハートなんだ、ハート。身分とかそんなのはどうでもいいんだ!」
本気で怒る無茶士。
「無茶士さん」
サビエラの中で無茶士の株が急上昇した。
「そうか判った」
「判ってくれた?」
と言う無茶士、だがそれが甘かったのが直ぐ判る。
突然、赤いベルの絵が描かれたブレストアーマーをレッドベルが脱ぎ始めたのだ。
数日前、レッドベルの隊で慰労の宴会が行われた。
「た~いちょ、隊長」
酒に酔ったガロンが絡んできた。
「前から思ってたんですけど、隊長はいい物をお持ちですなぁ」
ガロンの視線はレッドベルの胸に注がれていた。
隊にいる時は殆ど金属製のブレストアーマーで隠されているのだが、今は平服でレッドベルの胸の膨らみもはっきりと見えていたのだ。
レッドベルはその視線に気がつき、
「どうだ凄いだろ」
と胸を張って更に強調してみせる。
「それだけ立派な物があれば、どんな男だってイチコロですぜ、男はおっぱい大好きですからね」
と鼻の下を伸ばすガロン。
「おっぱいで・・・イチコロ?」
意味が判らず首を捻るレッドベル。
その直ぐ後で、
「純真無垢な隊長に変なことを吹き込むな」
「俺たちの隊長の純情が汚れる」
「ピュアハートな隊長に汚物が近寄るな!」
と隊員達にガロンは袋だたきに遭うのだが。
それを今思い出したのだった。
「おっぱいだろ、おっぱいだろ」
と叫びながら鎧を脱ぎ、
「これを見ろ」
トレッドベルは胸を張る。
ブレストアーマーの下は、鎧下という鎧から肌を守る為の綿の入ったキルトに似た服を着ていたが、その胸の部分はタマーリンにこそ及ばないが立派な膨らみがデ~~ンと存在を強調していたのだ。
「おおっ」
巨乳派の無茶士はつい見入ってしまう。
「ほらやっぱり、おっぱいだ!」
勝ち誇って叫ぶレッドベル。
「無茶士さん」
無茶士の株がサビエラの中で大暴落してしまう。
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