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外伝1「さすらいの勇者1ー47」

 人柄も温厚で、砦での人望も高い。

 その娘のレッドベルは剣の才能はやたらに高いのに性格は気まぐれで我が儘、無自覚に人を振り回す性格だった。

 影では鷹がトンビを産んだとまで言われていたのだが、憎めない部分もあり隊員達には愛されていたのだ。

「気を遣わせて済まないね」

 クロウベルは頭を上げて微笑む。

「お父様、何か用事があっていらしたのでは?」

「おおそうだった、ジークの奴が姿を消したんで探してきて欲くれないかい。広場の方に向かったという証言もあるので、悪いけどレッドベル、ちょっと見てきておくれ」

「え~っ、ジークおじさんまたとんずらしたんですか」

 レッドベルの言葉にクロウベルは顔をしかめ、

「レッドベル、もう少し言葉を選びなさい。それではいつもジークが仕事を放り出して逃げているように聞こえるじゃ有りませんか」

「でも本当にそうじゃない」

 隊員達が苦笑するが、クロウベルに睨まれて顔を逸らす。

「とにかくジークを見つけて、司令部まで連れて来なさい。頼みましたよ」

「は~い」

 去って行く父親を見送るトレッドベルは、

「わたし、ジークおじさんを探してくるから。あんた達、しっかり訓練しておくのよ。シモン、後は任せた」

 それだけ言うと、レッドベルは広場に向かって走り出したのだった。




「どうよこれで」

 キマシがどや顔でシルフィーナの方を振り返る。

 沼魔法で沼を二つにする練習をさっきから延々練習させられているのだった。

 その甲斐あって、なんとか二つにする事が出来るようになったのだが、

「沼の深さが浅い、大きさも二回り小さくなったね。はい、ダメ。やり直し」

 あっさりダメ出しを食らった。

「え~~っ、もうあの飴舐めるの嫌だぁぁ!」

 キマシは悲鳴を上げた。

 魔力回復飴をさっきから幾つも舐めて舌の感覚すらおかしくなりかけているのだ。

「練習有るのみ、努力の先に未来は開けるのよ」

 熱く語るシルフィーナ。

「あらら、先生のやる気に火が点いてしまいましたわね。こうなるとわたくしでも止めることは出来ませんわ」

 横でタマーリンがコロコロと笑う。

「うううっ、人事だと思って」

「やばい、このままじゃ死んじゃう」

 キマシはどうやったら逃げられるか算段を始め、ギリに目配せする。

 ギリもそろそろ潮時と思い始めていたのだが、そこへ、


                      (Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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