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外伝1「さすらいの勇者1ー41」

 そう言う無茶士を見ながら、

「彼の反応が正解ね、八歳で忍びの里を全焼させて大事おおごとになったのよ」

 腕自慢のつもりで魔法の天才少女と謳われていた八歳のタマーリンを、忍びの里の者が誘拐して里の座敷牢に閉じ込めたのだが、癇癪を起こしたタマーリンが大暴走をするという事件があったのだ。

「全焼させていませんわよ、半焼ですわ半焼。里を半分燃やしただけですわ」

「大差ないでしょ」

「半分と全部では随分違いますわ」

「お妃様が殴り倒さなかったら全部焼き払っていたでしょ」

「それはそうですけど・・・幼い時の過ちですわね」

「普通の子は八歳で里を半分燃やすとかしないから」

 クフフフと笑うタマーリンをジト目で見るシルフィーナ。

「その監督責任を取るという事で首になった後、しばらく田舎の学校の先生をしていたの・・・そうそう、そこでモモエルに出会ったのよ」

 サビエラが聞きたそうな顔をしていたので、知り合いである事を敢えてここで説明したのだった。

 ケットシー王国は人材育成に力を入れており、地方に幾つも学校を作り、優秀な子供を集めて教育する事をしていた。

 その中の一人がモモエルだったのだ。

「あの子はあの子で変な子だったわね、他に何の興味も示さずひたすらモノ造りに没頭して・・・手はかからなかったけど、扱い難かったわね」

「モモエル様らしいです」

 サビエラがクスッと笑い、無茶士はやっぱりとげんなりした顔をする。

 ほとぼりの冷めるまでモモエルのいた学校で教師を務めた後、砦の魔術師部隊の士官として招かれると、みるみる頭角を現して魔術士部隊の総隊長を任せるられるまでになっていたのだ。





「それからあなた達、ここで見た事は忘れなさい。これはあなた達とは根本的に出来が違う存在なんだから、変に比べようなんてするだけ無駄ですからね」

 タマーリンを指さしながら乗船している魔術師達に命令を下す。

「これ扱いはひどいと思いますわよ」

 タマーリンが苦情を言ったが無視される。

 必要以上に才能のある存在は、どの世界でもやっかまれて邪魔者扱いされるか恐れられるだけの存在の二択になる事が多い。

 総隊長である自分と知り合いである事と、実力も兼ね備えている事を見せつけておけば、ぞんざいな扱いはされないだろうと先に牽制する目的だったのだ。

 それは建前の部分で、タマーリンはそんな甘い性格はしていない。

 下手な事をすれば返り討ちにあって、手を出した方が精神的にボロボロにされるだろう。

 タマーリンは相手の弱みを見つける事も天才的な才能を持っており、一旦見つけた弱みは徹底的に使って楽しむ性格をしているのだから。

 部下達をそんな目に合わせない為の牽制でもあったのだ。


                     (Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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