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外伝1「さすらいの勇者1ー36」

「でも、本当に船だよな・・・あれ?」

 見た目は船だが、よく見れば細かい部分が違うのに気がつく。

「両側から魚のヒレみたいなのが出ているな、もしかして羽?羽にしては随分小さいな」

 違う所は他にも有った。

「船尾の方に立っているのは背ビレか?その向こうには尾びれ見たいのも有るし、なんなんだこの船?」

 最後の方の「なんなんだこの船?」を、大きな声で言ってしまい慌てて口を手で塞ぐ。

 周囲から「なんだ、なんだ」と視線が集まり、

「お騒がせして済みません、お騒がせして済みません」

 とペコペコと無茶士は頭を下げた。 





「あの船はウチで作っているんですよ」

 サビエラが声をかけてくる。

 ウチとは魔法道具研究所の事だ。

「あの船の周りに付いている、魚のヒレみたいなの何か判ります?」

「あれは・・・確か、えっと・・・・・・そうだ、空を飛ぶ時に船体を安定させるモノらしいです」

 サビエラの説明に無茶士は飛行機の後ろに付いている羽の事を思い浮かべた。

「あれも確か機体を安定させる為だったような・・・」

 うろ覚えの知識を総動員しても、思いつくのはそこまでだった。

 ヌルオタの知識など、所詮はそんなモノなのだ。

 広く浅く、それこそがヌルオタがヌルオタで有る所以ゆえんなのであった。




「早く乗船して下さい」

 シルフィーナが飛行艇に上る階段の上から、遅れ気味の武茶士達に向かって怒鳴る。

「はい、はい」

 無茶士とサビエラは慌てて走った。




 無茶士が乗船すると、初めて見る人たちが既に船に乗っていた。

 魔術師が着るローブに身を包んだ男が六人、皮鎧の男が一人。

 魔術師四人は船の前後の四隅に立ち、残る二人は船体中央に有る箱の横に左右に分かれて座っていた。

 皮鎧を着た男は尾ヒレに繋がる棒を握っている。

「みんな乗船したわね、それでは発進」

 シルフィーナの号令と共に四隅にいる魔術師が詠唱を始め、船体が上昇を始める。

「高さはこんなモノね、ここで安定させて」

 上昇が止まる。

「それでは微速で前進」

 箱の横に座る魔術師が詠唱を始めると、船体がゆっくりと前へ進み始める。

「微速から並速へ」

 船体の速度が上がり、スクーターより少し早い程度の速度を出す。

「これ、浮遊魔法ですか?」

 キマシが目をキラキラさせながらシルフィーナに尋ねる。

「そうよ、四隅にいる魔術師がこの船体を持ち上げているのよ・・・そして、あの箱の横にいる二人が箱の中に風を発生させて後ろの筒から噴出させて前へ進んでいるのよ」

 なんだかんだ言いながら、説明してくれるシルフィーナだった。

「じゃあ、後ろの尾ヒレみたいなのが舵ですか?」

 無茶士の質問に、

「あら、よく判ったわね」

 シルフィーナは驚いたような顔をする。

 元いた世界の船の舵を咄嗟に思いついただけなのだが、異世界の技術は無闇に話すなとモモエルに釘を刺されていたので、

「えっ・・・そう、あれですよ、魔法道具研究所に前に見学に行った時に見せて貰ったんですよ・・・あはははは」

 無茶士は作り笑いで誤魔化す。

「あら、あなたはモモエルの関係者なの?」

 モモエルを知っているようだ。

「は、はい」

「そう、ならいいわ」

 それ以上は追求されず、無茶士はほっとする。




「速度、中速に上げ」

 合図と共に船体の速度が上がり、飛行船は速度を上げ森の上空を抜けると谷間へと侵入した。

「あれをご覧なさい」

 タマーリンが指さす先、谷の遙か向こうで盛大に土埃が上がっているのが見えた。


後書きです


タマーリン様、やっと動き出しました。

書いていて楽しいです。

今週はあまり傍若無人さが出せなかったですが、来週はやりますよ。


来週は少し旅行に出るので、もしかしたら投稿が遅れるかも。

旅先にポメラは持っていきますが、書いている暇はあるのかな?


ではまた来週(@^^)/~~~


                       (Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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