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外伝1「さすらいの勇者1ー35」

 その騒ぎを横で見ながら、

「あらあら、面白い所だったのに」

 タマーリンが残念そうに嘆くが、唐突に何か思いついたように、

「そうですわ、無茶士。あなた、魔獣は見た事がないのでしょ?」

「はい」

 無茶士の返事に、タマーリンがニコッと笑ってから、

「それならわたくしと一緒においでなさい、魔獣の見学に行きますわよ」

 とんでもない事を言い出す。

「いいんですか?緊急出動とか言っているのに俺が行っても?」

「いいですわよ、わたくしが出るのですから見学がいても何の問題もありませんから」

 自信満々に答えるタマーリン。

 それから周りを見回し、

「サビエラと・・・あなた達もおいでなさい」

 ギリとキマシ誘う。

「あたし達も?」

「いいんですか?」

「ついでですから構いませんわよ」

「ついでかい!」

 突っ込むキマシ。

「あら、行きませんの?」

「いく、行くよねギリ」

「キマシ一人にしておくのも心配だからね」

「保護者か!」

 速攻で突っ込むキマシに対し、

「保護者だよ」

 ギリは返した。

「本当にあなた達、面白いですわね」

 タマーリンがギリとキマシのやりとりを見てコロコロと笑う。

「それでは皆さん、行きますわよ」

 タマーリンが率先して歩き、その後をゾロゾロと付いて歩く。





「シルフィーナ」

 魔術師達に指示を出していた背の高い耳の尖った女性にタマーリンが声をかける。

「タマーリン、何ですか?今、忙しいんですが」

「わたくしも出ます、船を用意して下さらない?」

 タマーリンの言葉に、一瞬言葉を詰まらせてから、

「本気なのタマーリン、本気で出ると言っているの?」

 目を見開き驚きの声を上げた。

「ええ、この方達に魔獣を見せて上げたいので、わたくしが守って上げないといけませんから」

 シルフィーナはタマーリンが連れて来た一行を一瞥いちべつしてから、

「いいわ、あなたが出てくれるなら多少の見学者は大目に見ます」

 それから部下に向かって、

「飛行船の発進は中止、小型艇の準備をして下さい。それとわたしも出ると」

 と命令を出す。

「では行きましょう」

 命令を出し終わると、シルフィーナは歩き始め、タマーリンもその後に続く。

「時間が有りませんわよ、あなた達も早くおいでなさい」

 武茶士達もタマーリンの後に続いた。

 ゾロゾロと格納庫の方に向かって歩いていると、格納庫の中から台車に乗せられた船が出てきた。





「ここ、森の中だよね?なんで船?」

 キマシが目を丸くして驚く。

「今からあれに乗って、魔獣退治に行きますのよ」

「あれに乗って?」

 タマーリンの説明に、キマシはますます訳が判らないとギリを見る。

「あたしも理屈はよく知らないけど、あの船は空を飛ぶんだよね」

 砦に来てまだ日の浅いキマシは見た事がないが、時々頭上を飛んでいく船をギリは何度か見た事が有ったのだ。

「ええっ、あれって飛ぶの?」

 キマシが更に驚きの声を上げた。

「ええ飛びますわよ、快適とは言い難いですけれど」

 タマーリンの説明にキマシの目がキラ~ンと光る。

「それってやっぱり魔法ですか!どんな魔法を使うんですか!」

 タマーリンに根掘り葉掘り聞く。

「後でシルフィーナがきちんと説明してくれますわ」

「ちょっとタマーリン、勝手にわたしに仕事を押しつけないでよ。わたし、忙しいのよ」

 シルフィーナが文句を言ったがタマーリンはどこ吹く風とばかりに無視する。

「ちょっとタマーリン、わたしの話を聞きなさい」

 相変わらずの傍若無人に無茶士は苦笑いをした。


                    (Copyright2023-© 入沙界南兎(いさかなんと))

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